昨日は母の誕生日だった。
生きていれば93歳。
享年は80歳だから、そうか、鬼籍に入ってからもう
13年も経ったのだ。
母の命日はちゃんと覚えているけれど
思い出すこともなくただ通り過ぎるのに
誕生日だけは、なぜか毎年思い出す。
母のことを好きだと思っていたのは
小学校の低学年までで
以降はずっと嫌いで
もちろん今も嫌いだ。
けれども
命日に手を合わせることはなくとも
誕生日だけは祝いたくなる。
その性格の特異さから
生前の母はきっと誰からも誕生日など祝ってもらったことは
ないだろうから。
母の誕生日には毎年、花を買ってテーブルに飾る。
それだけの、ささやかな誕生祝いだ。
駅ナカの青山フラワーマーケットで
クリスマスカラーのガーベラを買った。
故人に手向ける花であっても
命日ではなくて誕生日なのだから派手な色でいい。
母がもしも生きていてこの花を見せたとしても
ケチばかり付けて「ありがとう」のひとつも言わないだろう。
それでも私は
死んでしまった大嫌いな母のために
1年にたった1度だけでも何かをせずにはいられないのだ。

