前回は、デイヴィッドがクイーン・エリザベスのダイアモンド・ジュビリー

に演奏者として名を連ねたところまで書いた。

 

次のチャプターでは売れた後のニューヨークでの生活や、

めっちゃ疲れて懲りたアメリカツアーの話が出てくるんだけど、

日本が登場するところが興味深かったので、先にこちらを書こうと思う。

 

デイヴィッドのツアーはドイツ、オーストリアとスイスだったんだけれど

2010年以降、広がりを見せ、ラテンアメリカを含み、イタリア、

北ヨーロッパ、東ヨーロッパ、ロシア、東アジアにまで及んでいった。

訪れる都市が多様であればあるほど、経験も多様になる。

 

例えば、メキシコシティ。

そこでの会場は巨大で14000人を収容できるアリーナだった。

デイヴィッドは不安になってきた。

前もっての広告はほとんどできなかったから、空席の多いところで

弾くことになるかもしれない。


そのコンサートは、後ろからヴァイオリンを弾きながら

オーディエンスの中をゆっくり通ってステージに向かう

というものだった。

ドイツでは好評で、オーディエンスは後ろを振り返ってデイヴィッド

を見て、入り口からずっと見ながらフレンドリーに拍手をくれる。

そういうものだった。

 

だけど、メキシコシティでは、主催者が突然6人のボディガードを

つけると言った。

なんで?ツアーマネージャーのヨークがいつも、後ろにピッタリと

ついているからそれで十分だろうと思った。

だけど、Okay、”あなたたちがそう言うなら”

そしてコンサートが始まった。

会場は満員御礼だった。完売!

デイヴィッドは会場に入って行って演奏し始めた。

すると、たくさんの人がデイヴィッドのところにものすごい勢い

で近寄ってきた。

新聞記者たちの中を通り抜ける政治家みたいに

セキュリティガードがデイヴィッドを囲んだ。

 

デイヴィッドは思った。

”この騒動はいいサインなのか?それとも何か良くないことが

起ころうとしているのか”

すぐに、自分はメキシコバージョンの温かい歓迎を経験している

のだとわかった。

 

モスクワでのパフォーマンスも思い出すことがある。

クレムリンのホールで4000人のオーディエンスがいた。

(↑!クレムリンでやったんだっけ?)

演奏し始めるとみんなポーカーフェイスで、1曲目が終わった後

気のない拍手を受けた。

一晩そんな感じで白けた感じのレスポンスに終始した。

終わった後、ツアーマネージャーに聞いた。

”今日、僕は何か間違った?演奏、何かラフだった?”

彼は、肩をすくめただけだった。

のちに分かったことは、オーディエンスに有力政治家がいた

のだった。だから、彼らは抑制していたのだろう。

だからデイヴィッドは自分自身に拍手していようと思った。

 

メキシコシティの話に戻ろう。

結局、デイヴィッドはよろめきながらステージに向かった。

その騒乱の中で、スポットライトが一瞬デイヴィッドを

見失ったりするほどだった。

それから、コンサートの間にイラつく瞬間があった。

イヤフォンから歌声が聞こえたからだ。

何が起こってるのか?フランクが一緒に歌っている声が

入っているのか?

右耳のプラグを抜いて分かったのは、ホールの14000人が

ボン・ジョヴィの”Living on a Prayer"を演奏と一緒に歌って

いたからだった。

こんな経験はしたことがなかった。夢に見たこともなかった。

だけどメキシコでは、最も熱烈な歓迎を受ける準備が必要

なことは明らかだ。

この後のブラジルやアルゼンチンでも同様だった。

もちろん6人のセキュリティガードがいた。

それはグッドアイディアだよ。

だって、彼らがいなければ全ての手がデイヴィッドを

つかもうとして、ヴァイオリンさえにも届くのだから。

 

その後の日本公演では、デイヴィッドは自分の仲間に

こう言った。

”心配ないよ。ここは全く違うから”

以前のツアーで日本を知っていたから:

日本人は静かなファンだ。

曲の間に短い拍手を送り、手拍子をし始めたらすぐに止める。

だけど、最後には花束やカボチャほどの大きさの赤いリンゴが

入ったフルーツバスケットのプレゼントシャワーがあるんだ。

一方、ラテンアメリカでは椅子の上に立って熱狂的に歌う。

 

↑ハハハハハハハハ。

わたしも、あの時は南米との対比でデイヴィッドは

日本がつまらないんじゃないかなあと心配だったよ。

でも、日本人は決してラテンアメリカみたいなことは

できないし、それでいいと思う。

日本はみんな聞いてくれるから日本には積極的に来たいと

あのエド・シーランも言ってるし、クラシックの音楽家も

多くの人が言ってる。

 

でも、この間のデイヴィッドの東京公演では、

わたしたちちょっと違ったよね。

後半では曲中、手拍子したし、終わった時には総立ち

だったし。ちょっと印象が変わってくれてるといいわね。

 

↓これ、こっそり撮ったんだけど2014年の6月だった。

みんな嬉しそうだけど礼儀正しい。

ヨークなんて付いてこないで後ろから見てたもんね。

 

 

この時は東京2回、大阪1回だった。

ICONICは1回だけだったから、次はもう少し日本を回って欲しいね。