(転載) 厚労省と環境省の対立
「holyさんのブログ 」からの転載です。
・・・・・・・・・・・・・転載・・・・・・・・・・・・・
テーマ:松野頼久衆議院議員
この記事は、科学作家 竹内 薫氏がVoice7月号に発表した記事からの転載です。
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
今回、国会議員のなかで私が白羽の矢を立てたのは、民主党衆議院議員の松野頼久だ。松野は、自民党の衆議院議員で農林大臣などを務めた松野頼三を父にもつ。世襲議員かと思いきや、父親の地盤は継いでいない。細川護煕(元首相)の秘書から始まり、1998年に細川の後継として出馬し落選の憂き目を見た。その後、2000年の総選挙で議席を得て、現在は3期目を務める。
財務金融委員会の理事であり、民主党の「次の内閣」では「財務副大臣」というポストに就いている松野だが、なぜ、ペットの殺処分にかかわるようになったのだろう。
「『朝日新聞』の朝刊の一面トップで、『犬猫39万頭殺処分』というような記事が出ていたんです。殺処分が減るようなことが、国会で政策として何かできるかなというふうに思って、勝手に調べはじめたんです。それで、これは動物愛護法という法律と、狂犬病予防法という法律があって、じゃあ国会とか立法府がかかわる余地があるな、というところから始めたんですね。まあ、いちばん最初はかわいそうだ、そんなにたくさん殺処分されているのか、ということからスタートしたんです」
愛犬家としても知られる松野だが、新聞記事でこの問題の深刻さを知ったのだという。ペットの殺処分の実態は、意外と国会議員のあいだでもあまり知られていなかったことがうかがえる。
この39万頭という殺処分の数は、現在では29万頭(2007年度)まで減っている。一昔前は100万頭が殺処分されていたことからすると、確実に減ってきてはいるのだ。
しかし、ここに縦割り行政の弊害が顔を出してくる。犬や猫が保健所や動物愛護センターなどに引き取られてきた場合、その処分については「狂犬病予防法」に従って指示を出す厚生労働省と、「動物愛護法」に基づいて行動する環境省が対立してしまうのである。
「昔は、狂犬病予防法に基づく施設として、動物管理センターなり保健所なりが、狂犬病予防法の政策として行なっていたことなんです。
で、最初に審議で取り扱ったのが狂犬病予防法。その辺をウロウロしている犬がいたら捕まえてきて、3日間飼い主がいるかいないか公示して、3日目にはだいたい殺していたんです。ところが、動物愛護法という法律では、本来は譲渡を含めて、できるだけ生存の機会を与えるようにという文言があるんですね。ずいぶん最初、環境委員会で『ここ、おかしいんじゃないの?』っていうことを指摘しました。
狂犬病予防法では、生後90日以降の犬は予防注射を打たなければいけません。予防注射を打ったらば、その鑑札を付けなければいけませんっていう決まりが、狂犬病予防法であるんですね。でも裏返すと、じゃあ90日以内の子犬には、狂犬病はいないんだから、狂犬病予防法の適用外ですね、と。だったら、すべて動物愛護法で運用して、できるだけ生存の機会を与えるようにというふうに、まずやりなさいよと指摘したら、それを(厚生労働省と環境省が)全国に通知してくれたんです。
それが1回目の通知。そのあと5回、質疑をやっています。厚生労働副大臣を委員会に呼んで、狂犬病予防法における3日目の処分についても、『処分とは殺すことだけではない』という答弁をもらって、それも全国に通知してもらったんです。飼養に適する犬は、できるだけ譲渡の機会、譲渡を含めて生存の機会を与えるように、と。要は飼える、生存させられる犬に関しては、すべて3日目からは動物愛護法の下に入れて、譲渡をしてもいいですよ、というふうな法解釈をさせたんです。それも通知してもらいました」
たかが通知、されど通知。それまで互いの役所の領分を侵すまいと厚労省と環境省の狭間で放置されてきた問題を委員会で取り上げて、まずは子犬、それから3日以降の取り扱いについて、全国の保健所や動物愛護センターなどの「現場」に通知してもらったわけだ。
私は日ごろ、国会議員の役割について、あまり気に掛けていなかったが、松野の具体的な質問により役所のシステムが動きはじめたことを知り、国会議員の仕事の重要性にあらためて気づかされた。
興味深いのは、狂犬病予防法が改正されたわけではないのに、その解釈と「運用」を変えるだけで、多くの犬の命が救われたことだ。それまでは動物愛護団体の人たちが「里親を見つけてあげたい」と申し入れても、「狂犬病予防法」を盾に門前払いされていたのだから。
とはいえ、法律の運用を変えて、それでハイ、おしまい、というわけにはいかない。これまで3日目に殺していたのに、7日とか30日まで収容期間を延ばしたり、里親を見つけたりするためには、当然のことながらお金が掛かる。いったい、その費用はどうやって捻出するのか。
「本来はですね、犬の登録手数料二十数億円、あと注射済み票の証の発行手数料、これでたぶん30億~40億円弱ぐらいじつはあるんですよ。それが地方分権の一環で、地方自治体の一般会計で使ってもいいってなったんです。
よく『犬』というワッペンが貼ってありますね。登録手数料を払うと、あれをくれるわけです。で、あのお金はいまでも発生しているんです。
収容される日数が長くなればなるほど、助かる可能性が高くなる。でも、お金は必要だというんで、そのあとに僕がやったのが、地方自治体に交付税措置、3億5000万円、毎年その一般会計のなかから、動物愛護施設の餌代とかワクチン代に使ってもいいですよっていう政策を総務省にやってもらったんですね」
犬の登録手数料として、全国の飼い主から徴収したお金を、これまでは「犬以外のこと」に使ってきた。その一部を犬の殺処分を減らすことに使っても、誰からも文句は出ないだろう。いっそのこと、犬の登録手数料は、動物愛護という特定の目的のために使うべし、と「動物愛護特定財源」にしてしまえばいいのかもしれない。
「動物愛護法のなかに、施設の半分を国庫補助することができるという条文が残っていたので、今年はまず第一弾として、譲渡専用の欧米型のシェルターの予算を1億円確保しました。で、これ9年間は続くと思います。1億円を国が出して、1億円を地方自治体が出すと、5割補助ですから2億円になるじゃないですか。
1億円あると(シェルターが)つくれるんです。うちも5000万円出すから、国も5000万円出してください、という自治体が2つあるなら2カ所できる。今年度予算が通ったら、環境省が全国の自治体に、どこかやりたいところはありますかって、いま調査していますので、日本初の譲渡を目的としたシェルターが設置されます」
命を奪う収容所から、命を救うシェルターへ。松野の努力で、その第一歩となる譲渡目的のシェルターの予算が通ったのである。
ところで、松野のお膝元の熊本市では、すでに犬の殺処分率が8%強という驚くべき数字を達成している(最初から病気をもっている犬などは譲渡の対象とならないので、そういった犬も含めると25%程度になるが)。
全国の保健所や動物愛護センターでは、収容された犬の90%以上が殺されてしまうのに、熊本市では、逆に75%の犬に貰い手が見つかって、生きたまま施設を出ているというのだ。なぜ、そんなことが可能なのか。
「熊本なんか見ていただくと、もうペットショップみたいです。月曜から金曜まで、9時から5時までいつでもどうぞって。もらう人には、(動物愛護団体の)アライブさんのつくったガス室のビデオを1回見せて、譲渡前講習を受けさせて。で、『あなたがもしまた捨てると、こうなりますよ』っていうのを見せてから、譲渡する」
熊本市では、どうしても殺処分しなくてはいけない犬についても、犬が苦しむ窒息死ではなく、注射による安楽死を選んでいるそうだ。
ここまで聞いて、私は、熊本での取り組みについて、なぜそんなにうまくいくのか、そして、なぜ他の自治体ではできないのかを知る必要を強く感じた。
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆以上
ご参照 : Voice記事より①~③、 Voice記事より④~⑥
松野議員(現内閣官房副長官)は、動物愛護管理法を見直す会にも参加され、動物愛護法を見直し、より実効性のある法律にしたいと協力議員さんらと共に活動されています。
ご賛同いただける方は、是非下記バナーから署名のご協力をお願い致します。o(_ _)o
署名直通:http://www.nolove-noearth.com/sign.html
