ディーダラスのひこーき工房 ~Dedalus's Aviation Studio~ -5ページ目

ディーダラスのひこーき工房 ~Dedalus's Aviation Studio~

「ホップ、すてっぷ、ジャンプしたらそのまま飛んでいけ!」
 "Hop, step, jump and fly away!" This is the studio to build "airplanes" from materials in the storehouse in my brain...

震災から2週間。

先日のブログで私は東北人の安全確保の仕方について「みんなで守ろう」の発想だと書いた。

あの後ふと思い出したのだが、地震直後の3月12日、ニューヨークタイムズに「Sympathy for Japan, and Admiration」という記事が載っていた。

Sympathy for Japan, and Admiration
http://kristof.blogs.nytimes.com/2011/03/11/sympathy-for-japan-and-admiration/

日本に滞在した経験のあるアメリカ人記者が、日本人の忍耐の精神や冷静さ、秩序ある行動を賞賛した記事だが、その中に気になる部分があった。

(抜粋)
・・・
Japan’s orderliness and civility often impressed me during my years living in Japan, but never more so than after the Kobe quake. Pretty much the entire port of Kobe was destroyed, with shop windows broken all across the city. I looked all over for a case of looting, or violent jostling over rescue supplies. Finally, I was delighted to find a store owner who told me that he’d been robbed by two men. Somewhat melodramatically, I asked him something like: And were you surprised that fellow Japanese would take advantage of a natural disaster and turn to crime? He looked surprised and responded, as I recall: Who said anything about Japanese. They were foreigners.
・・・

ざっと訳してみると、こうだ。

「日本にいる間、日本人の秩序だった性質と礼儀正しさに私(筆者)はいつも感動していたが、特にそれを感じたのは神戸の大震災のときだった。神戸の町の大部分が破壊され、店のガラスが町中に散乱する中、私は略奪行為や救援物資の奪い合いがないかと町をうろつき回った。するとやっとのことで、2人組の男に商品を奪われたという商店の主人を見つけることができた。いくぶん芝居がかった感じで、私はこんなことを言った。『仲間であるはずの日本人が自然災害に乗じて犯罪を犯したことに驚きましたか?』店主が驚いた顔をしてこう答えたのを私は思い出す。『日本人だなんて誰が言ったんだい。あいつらは外人だったんだよ』」


日本人の仲間意識の強さ、秩序ある行動、礼儀正しさの裏面には、こうした「自分の仲間以外は敵」という差別意識がある。

今回の震災でも、そうした日本人の裏面がちらほら見えている。
たとえば、震災後から現在まで、被災地で飛び交う「外国人による犯罪」の噂。

「多賀城では外国人が車からガソリンを抜いている」「岩沼・名取では外国人が遺体から腕時計や財布を奪い取っている」といった話だ。

私は、こういった噂のどれくらいが本当なのか、それとも全てが嘘なのか、はっきりしたことは分からない。

しかし、おそらくはそういった噂の多くがデマだろうということは予想できる。実際、いくつかの噂は単なるデマだと確認されているそうだ。

「混乱に乗じて犯罪を犯す外国人」という発想は古くからのもので、100年前の関東大震災でも「朝鮮人がこの混乱に乗じて井戸に毒を投げ込んだ」という流言飛語があり、そのせいで多くの朝鮮人が虐殺された歴史は有名である。

ちなみにそのとき、朝鮮人かどうかは日本語を流暢に話せるかどうかで見分けていたため、吃音を持つ日本人も誤解されて殺されたという話がある。
つまり、差別の基準は「本当に日本人かどうか」ということとすら関係がない、という事である。「妄想の中にいる悪逆非道な外人」を「自分たちの共同体の外にいる人間」に結びつけて排斥しているのだ。「ガイジン」という言葉は「外の人間=悪者」に対する手っ取り早いレッテルに過ぎない。

東北地方は比較的外国人差別のない地域だと、私は思っているのだが、その東北でさえ、こういう類のデマが飛び交う。

こうしたデマに冷静に対処し、無用な外国人差別をなくすことができたとき、東北人は真に世界に誇れる「日本人」の代表になれると思う。


蛇足だが、原発の件で福島から東京に避難してきた子供が、東京の子供たちに「おまえ、放射能で汚染されてるんだろう、寄るな」「おまえらのせいで東京は停電になってるんだ」といじめられているという話を聞いた。

これが悪質なデマであることを願う。
もしこれが本当なら、賞賛される日本人のすぐ隣に、唾棄すべき日本人がいることになってしまう。
陸上選手の為末だったと思うが、Facebookを利用していることについて、こんな質問を受けていた。
「本名を晒すFacebookは、プライバシーやセキュリティの面で不安ではないのですか?」

これに対する為末の答えがなかなか的を射ていたと思う。

「これまでの匿名で使用するSNS(mixiなど)が、『自宅のセキュリティをがっちりやろう』という発想だとすれば、Facebookは『お互いのことをよく知っている隣人とのつながりを強くして、みんなで守ろう』という発想なんです」

今回の大震災で、東北地方の人たちの「安全」に対する考え方が、まさに後者だということが分かった。

食べ物がない、水がない、衣服がない、という生死に関わる窮地を、「みんなでがんばろう」と隣人、地域とのつながりで乗り切ろうとしている。

私が住んでいる場所でも、そうだった。

地震があって数日、私は近くに住む二家族と寝食を共にした。
その後も、食べ物が少ないと言えばみんなで食材を持ち寄り、調理器具がないと言えば誰かがガスコンロを用意し、子供がいるので休めないと言えば一人のお母さんが世話を買って出る。

見事なまでの連係プレーで、そのおかげでパニックに陥ることも、飢えることもなかった。
もちろんこうした近隣との緊密なつながりは、ある程度プライバシーと引き替えになるのだが、そんなこと大して気にもならなかった。

一方、東京の人たちの今回の震災に対する反応は、旧来のSNSのように見える。
「自分だけがっちり守ろう」の発想だ。

なるほど、プライバシーは守られるだろう。互いが互いのことをよく知らない。
しかし、そのために人は疑心暗鬼になり、「自分だけの安全は守ろう」と少ない物資を買い占めに走る。震災グッズが足りないと言えばカップメンが売り切れ、放射能が危ないと言えば水が売り切れる。一部の人間がほんの少しの種類の物を持ち、「全員が何か足りない」状態になっている。
結果、大部分の人が窮地に陥る。

私は都会の魅力は大きく言って「簡便性」「享楽性」「匿名性」の三つにあると思っている。特に三つ目の「匿名性」は他人との関わりを持ちたくないと思っている人間にとって大きな魅力だろう。
しかしそれが、大災害のような、人間の本質を問われる場面で最大の障害になる。それが今回の地震でよく分かった。


プライバシーを供出してセキュリティを確保する。東北の人たちの姿から、これからのあるべき「安全」の姿が見えてくるような気がしてならない。
震災から10日が過ぎ、宮城、岩手などの被災地では少しずつ復旧が進んできている。

仙台市では3ヶ月はかかると言われていたガスを、新潟からのパイプラインを活用することで、1ヶ月から1ヶ月半をめどに復旧させるという計画が発表された。
水道も今月末までには全面復旧の見通しだ。

仙台はまだいい。でも、仙台から少し離れた郡部ではまだまだ復旧の見通しは立たない。

特に津波の被害を受けた町は瓦礫の山だし、その山の下には夥しい数の被害者の方々がいる。生存者の方々もいるかもしれない。当然、一刻も早く助けられてほしいと願っているのだが、考えたくないことに、もう生きてはいない方々もおそらくはたくさんいるのだ。弔われるどころか、いまだ発見されることもなく。

テレビの報道を見るまでもなく、そういった方々やご家族のことを思うと、涙が出る。

そういった中、生存者を必死に探す自衛隊の方々がいる。
少しでも悲しみを癒そうと、昼夜を問わず瓦礫撤去を行う建設業者の方々がいる。
家族の情報、生活に役立つ情報を提供するボランティアの方々がいる。
一日も早く日常を取り戻そうと、それぞれの仕事で頑張っている方々がいる。

被災地に住む者として、こうした方々のご尽力には頭が下がるし、感謝に堪えない。


一方で、被災で苦しむ方々の不幸を、「飯のタネ」「ひまつぶし」としか捉えていないゴミのようなマスコミ連中が大挙して被災地を訪れている。

彼らは仙台市内のビジネスホテルをしっかりと押さえ、あったかい布団で鋭気を養い、お腹をいっぱいにさせてから被災地にやってくる。
できるだけ悲惨な光景に当たらないか、インパクトのある画が撮れないかと願いながら。
そして、ホテルでは憚ることなく、生活が不便だ、面白い画がないなどと不平不満を口に出す。

これが人間のやることか。人間の言うことか。

自分がいかに卑しいかを自覚しろ。
被災地の方々に共感する能力のないマスコミ連中は全員出て行け。
何が調査報道だ。人の不幸を餌にしなければ続けられない調査報道など、全て消えろ。


そう思うのは、私だけなのだろうか。
震災の傷跡がまだ生々しく残る現在、趣味のことなど構っていられないほど生活に追われているわけですが、そんな中、私の大好きな超絶フュージョンコミックバンドのTRIXから、ギターの平井武士氏が脱退することが発表されました。

「じぇっといずむ」(平井氏のHP。3/20の日記で発表。)
http://jetism.net/

「TRIX Web」(TRIXリーダー、熊谷徳明氏のHP。「重要なお知らせ」で告知。)
http://homepage2.nifty.com/ost-noriaki/index.html

ノォ~!!

平井氏のHPでの、思い入れのこもった説明に対し、いやにあっさりとした熊谷氏の告知。
「音楽性の違い」・・・。なんと無機質な言葉。

残念ですが、今後のそれぞれの活動を見守りましょう。

TRIX 2010 LIVE FEVER!!!! [DVD]/TRIX
¥4,800
Amazon.co.jp

jetism/平井武士
¥2,800
Amazon.co.jp



3月11日の大地震から8日。

仙台は徐々に復旧しつつあるとは思うけれども、まだまだ平常の状態にはほど遠い。

電気は復旧したものの、未だ使えない水道とガス。行列に並んでやっと手に入る食料は野菜・果物中心。いつまでも続く強い余震。好転しているようには思えない福島第一原発の状況。

努めて普通にしてはいるが、妻も子供も精神的に追い詰められているのは確かで、言葉や行動の端々にストレスが見えるようになってきた。

移動するならここが限界かと考え、一晩悩んだ末に、今日仙台から妻の実家のある青森に来た。高速バス・列車を乗り継ぎ、家を出てから8時間で到着。

青森はガソリンは宮城同様買いにくいし、スーパーなどでやや品薄状態が続いているものの、ライフラインは全て生きていて、食べるものも宮城ほど困窮していない。

状況が安定するまで妻と子供はここで暮らしてもらおう。ただ、自分がいつ戻るかは思案中。