「スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン」
スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則
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プレゼンの技術論だと思って読んだら(それも含まれてはいるものの)、ジョブズの人生哲学がふんだんに含まれた本だった。
この本によれば、iPod、iPhone、iPadなど、夢のような製品を次々世に送り出しているApple社だが、ジョブズが売りたいのはこういった製品そのものではない。
彼が提供したいのは、その製品によって得られる「すばらしい体験」そして、問題が解決された「未来」。ジョブズは「より良い未来」をもたらすことに情熱を傾けているのだという。
偉大なことをする人物はみな、この「人類とその社会を良い方向へ導く」ことに情熱を燃やしている。
スターバックス社社長のハワード・シュルツもそうだ。彼がはコーヒーを売っているのではない。彼が目的としているのは、「家と会社の間の第三の空間」を提供すること。それによって人々に安らぎを与えることだ。
アフガニスタンで地域医療に尽力する、ペシャワール会医療サービス総院長の中村哲も、おそらく「病気を治す」ことが自分の仕事だとは思っていない。「社会を良くし、人を幸せにすること」を目的にしている。
そうでなければ、人の命を救うためとはいえ、井戸を掘り、運河まで作ることはできない。
製品やサービスの提供とそれによって得られる対価自体を目的とするのではなく、もっとはるか先に目標を定め、情熱を傾ける。そんな生き方に共感する。
「職業に貴賎はない」とはよく言われることだ。その日暮らしの生活でも幸せを感じる人はいるだろうし、他人のことなど考えずとも高い地位につき、大金を手にしている人もいるだろう。
しかし、どうせなら人類を幸せにする情熱を持って生きたいもんだ。