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3月13日の午後に私が以前勤めていた塾で教えていた生徒二人が、私の教室に遊びに来てくれました。

 

A君は首都圏の大学を今春卒業して、外資系のコンピュータ関連の会社に就職が決まりまりました。

 

B君もA君と同学年ですが、道内大学の医学部の学生ですので卒業はまだ先です。

 

元塾生の子たちと大学卒業後に会うと昔話はもちろんですが、「異業種交流会」のように互いの業界間の情報交換も活発に行われます。

 

A君は小学生のころから「起業をしたい」と言っていたので、国内の会社の内定を蹴って外資系企業を選んだ理由が分かる気がします。外資であれば1年目から具体的なプロジェクトを担当させられることも多く、頑張れば早くキャリアを積み上げることもできます。その経験を元に独立して起業したいと思っている人間も多いようです。

 

A君は早速、「自動車開発」の担当になることが決まったそうです。

 

自動車は今、走行性能や燃費、デザインを競う時代から新しい能力付与を目指した技術開発競争の時代に入っています。

 

それは「自動運転」です。

 

世界で1、2位の自動車メーカーとなったトヨタも毎年1,000億円単位の研究開発費のうちの多くをこの技術の開発に割いているようですが、単独での開発はなかなか難しく、焦りを持っているという話を耳にしたことがあります。

 

「自動運転車」の開発には詳細なマップデータが欠かせません。この点でいうとGoogleはかなりリードを広げている状況です。Googleは「Google Earth」や「Google Map」といったサービスを既に提供し、運用の面での経験も豊富です。私も仕事とプライベートの両面で大変お世話になっています。

 

「A君の会社はどこの自動車メーカーと組むの?」と聞いたところ、相手先は日本国内のメーカーではありませんでした。

 

前回の新ブログテーマ『経営者日記』の第1回記事では「東芝経営危機」を取り上げましたが、「シャープ」もその少し前に経営危機に陥っていました。さらにその数年前には「パナソニック」や「日立」も同様の状況でした。

 

日本のメーカーは自前で商品化に必要な技術開発を全てやろうという意識が強いようです。しかし、近年では商品化に必要な技術開発に数千億円の資金がかかるのは珍しくなく、しかもそのような技術を複数組み合わせねばならないこともあります。

 

「自動運転車」の開発も道路状況を把握する「センサー技術」に「マップデータ」の運用を組み合わせねばならないので、典型的な事例かもしれません。もちろん優れたソフトウェアが入ったコンピューターも必要です。

 

A君の話ではその会社は「画像データ解析」のノウハウに長けており、その部分が「自動運転車」の開発に役立つそうです。

 

そこからさらに、A君の話が人間の「ゲノム解析」に発展したところから、B君も本格的に「異業種交流会」へ参加です。海外の大学との提携でA君の会社のスーパーコンピューターが役立っており、そろそろ成果が期待できそうだとのことでした。

 

これから遺伝子分析が進めば、どのような遺伝子を持つ個体が、何歳までにどのような病気に罹患するのか、その確率もわかってくることでしょう。

 

話はさらに「保険業界」との関連に進み、将来的には生命保険加入の際に「遺伝子情報」の提出を求められるようになるかもしれないという話もでてきました。何歳までにどのような病気になるかがわかれば、それに合わせて入院特約や死亡保険の保険料を定めることができ、保険会社は経営を安定させることができます。

 

そしてさらには、将来「遺伝子差別」が起こるかもしれないという話まで出てきました。

 

結婚の際に相手がたの両親から遺伝子情報の提出を求められ、それを見れば生まれてくる子がどのような疾患を持ちやすいかもわかってしまうかもしれません。それが原因で縁談が破談になる事態も起こりうるという話です。

 

この差別が厄介なのは、単なる生まれの違いに過ぎない「身分差別」などのように科学的な根拠が全くないと言い切れない点です。将来的には「プライバシーの権利」の中でも特に重要なものとして立法によって保護されるべきかもしれません。

 

最近の我々「異業種交流会」で面白いのは、一見関連性の無さそうな業種間でも何らかの関連性が存在することです。仕事上、一緒に何かをすることになる可能性がどの業種間でもあるように思えるほどです。テクノロジーの急激な進歩がその原因です。

 

近年、大学でも「リベラルアーツ」が人気で、学部も増えてきているようです。” liberal arts”は「教養」と訳されることが多いようですが、一般用語の「教養」とは意味合いが異なるように思います。

 

ここでいう「教養」とは、各種の科学的知識を組み合わせて考え、1有権者として正しい政治的・経済的な判断が出来る素養のようなものだと思います。

 

分かりやすい例が、「原発問題」かもしれません。放射線についての正しい物理的な知識がなければ、経済効果以外の将来的な事故のリスクも加味した政治的な判断は出来ません。しかし、義務教育である小学校・中学校の理科の教科書には福島原発の事故が起こるまで、放射線についての記述がありませんでした。原発の「安全神話」はこのような状況下だからこそ、作り上げることが出来たのかもしれません。技術者も科学の専門家ですが、「絶対に安全です」というのは非科学的です。この言葉には科学の立場から考えた場合には多くの矛盾が存在することに我々有権者が気付けなかったのは、有権者としての「教養」が欠けていたからかもしれません。

 

最後に「そういった差別の芽を摘むことや優れた有権者を育てることが我々塾の仕事だ」というオチで終わりました。

 

そして、そのためには今後も「元塾生たちとの異業種交流会」は活発に行っていきたいと思います。

 

この二人の将来もとても期待できそうで、楽しみが増えました。

 

 

Written by Desaki