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日本の塾にとってもっとも多忙なシーズンは国内入試が集中する春です。その季節も終わりを迎え、塾生たちとの合格祝いを25日に控えています。
そんな私が新テーマでブログを書くことにしました。
そのテーマは『経営者日記』です。
私の仕事には3つの側面があります。
1つ目は「塾講師」。
2つ目は「学習者」。
3つ目が「経営者」。
1つ目についてはこれまで、『僕の塾講日記』というテーマ名で、現場の仕事をこなす上で感じていることをブログに書き綴ってきました。2つ目についても特にテーマ名をつけていたわけではありませんが、様々なテーマの中で触れてきているように思います。
さっぱり書いてこなかったのは、『経営者』としての側面ですが、いよいよこの部分の質が塾生たちにも大きな影響を与えつつある段階に進みつつあるように感じています。そして、「学習者」としての側面から見ても、私の財務や会計知識の不足がこの塾の欠点になってきているようです。
実は今、各種ニュースの中で一番気になっているのが「東芝の経営危機」に関するものです。ここのところ来客の方々との間でも話題になることが多いです。
当社の取引や関係先の方々もそれなりに多彩です。
例えば、
税理士法人さん
複合機のメーカーさん
広告代理店さん
求人広告会社さん
教材販売会社さん
新聞社の方
学校関係の方々
等々‥‥。
様々な業界の方々と雑談をし、それぞれの立場から感じていることを伺っているうちに、私なりの所感のようなものが出来上がってきました。
今回はそれについて書いてみます。
まず感じていることは、「国策企業の危うさ」です。
日本は学校の社会科で学ぶように「資源の無い国」です。したがって、エネルギーの中心となっている電気を作るための化石燃料もほとんどありません。
そこで、原子力発電を国策として推進してきたという経緯がありますが、おそらくもう一つの理由はいつでも軍事に転用できるということでしょう。
さらにはビジネス面における国際化が進み、輸出入においても競争が激しくなり、技術的に競争力のあるものはどんどん輸出しようということになりました。
そこで「原発の輸出」が国策の一部に付け加わったわけです。
原発技術を持つ日立や東芝、三菱が国の後押しを受けて、まさに「国策」として海外への原子炉の供給を行い始めましたが、3・11の東日本大震災での原発事故により風向きが変わります。
逆風が吹き始めた中でも国策は変わらず、積極的に海外の原発関連の会社の買収も行い、東芝は原子炉供給のみならず施設建設にも手を広げます。
そしてこのように東芝の子会社となったのが、アメリカの「ウエスチングハウス・エレクトリック」であり、さらにその会社に買収された「ストーン・アンド・ウェブスター」が生んだ損失が親会社である東芝の巨額損失の原因となりました。
東芝本社としては、この「ウエスチングハウス・エレクトリック」を決算の連結対象から外したいところだと思います。ネット上でも「株式を売却してしまえば良い」との意見を多く見かけますが、それは解決策にはならないようです。
一番の問題は、どうやら原発建設を発注した電力会社との間で取り交わした東芝本社の「債務保証」のようです。
つまり、我々が親子の縁を切っても子供のために結んだ「連帯保証契約」は切れないのと同じことで、所有株式の比率が下がればコントロールが効かなくなり、むしろ損失が拡大する恐れもあります。
今期に生じた約7000億円の損失と同等の損失は、工事遅延の状態が解消されていない以上、今後も生じる可能性が否定できません。
半導体部門の切り売りで今期の損失は穴埋めできても、来期をどのように乗り切るのかが分かりません。監査法人がなかなか第3四半期の決算に判を押さないところを見るとかなり深刻な事態になっているように思えます。
「国策企業なのだから、いざとなれば国が資金を注入する」という考えも見込み違いになる可能性があるように思います。
なぜなら、現在は奇妙なことが起こっているからです。
そもそも設計の見直しによる工事遅延によって人件費等のコスト増加が生じた理由は、アメリカ政府機関が東日本大震災後に原発の安全基準を厳しくしたからです。
いわば、アメリカの原発をより安全にするために日本国民の税金を原資とする資金を提供するようなものですから、日本政府内での反対者は多いような気がします。我々国民の理解も得づらいでしょう。実際、日本政府は目下のところ静観しているように見えます。
東芝の経営陣も焦りがあることでしょう。
「国のために動いたのに、助けてもらえない。アテが外れた」という気持ちかもしれません。
日本政府にとって最も良い落とし所は、東芝を破産処理してしまうことのようにも見えます。
その際に、原発事業は他社もしくは新たな国営企業に引き継がせるとういう選択肢も取れそうです。ただし、アメリカ政府もこれらの原発建設について債務保証をしているようなので、外交問題に発展してしまいそうです。
この問題の解決策は、誰の立場に立つかによって大きく変わります。
東芝の株主
東芝の役員
東芝の社員
この3つによっても異なりますし、
日本政府
日本国民
上記もまた違いがあり、さらには
アメリカ政府と国民
も異なります。
私の利害関係者としての立場は「日本国民」であり、傍観者としての立場は「経営者」です。そしてどちらかというと「経営者としての立場」から見ていると、この問題から目が離せません。
そして、この「経営者としての立場」からひしひしと感じることが、安易に「国策に乗ることの危うさ」です。
これまで長らく日本社会内では「国策に従うことが安全で、ビジネスの旨味もある」という感覚があったように思います。
しかし、この東芝の例が経営者への意識改革を促しているのかもしれません。国際化が進んだ環境ではどの業種でも競争の舞台が国内に留まらなくなり、自国の政策がその舞台内では必ずしも正解であるとの保証が無くなってきたからです。また、自国政府も他国内で生じた問題の解決には力の限界があります。
さらに言うと、自国の政策に従えば様々な形で資金を得られることが多いですが、その多くはヒモ付きです。
例えば、「若年者や高齢者の雇用促進のための助成金」、「私学助成金」等々‥‥。
これらを申請して受け取れば、資金は得られますが完全な無償ではありません。研修が義務付けられてその実施を証明する書類の提出が必要になったり、採用できる人材に縛りがあります。あるいは、生徒の定員数の増減が自由にできなくなる等‥‥。
つまり、「経営の自由」が損なわれます。
学校に関して言えば、大学の学部新設に関しては認可が必要であり、どのような教員を揃えるかにより審査の結果に影響が出ます。
また、大学以外では使用する教科書には検定があり、各教科の授業時間数も学校が全く自由に配分を決められるわけではありません。
もちろん上記のようなシステムにはそれぞれ合理的な理由が全くないわけではありません。学校は他国への進学の際に、共通の卒業資格基準を定めておかなければならない事情があることはわかります。
しかし、できる限り「民間だけの資金で、自身がよく考えながら自由な経営を行うことが、経営の安全につながる」という価値観も忘れてはならないと思います。
思えば、日本の大きな社会変革期にあたる明治維新の際に活躍した人物たちは「松下村塾」という私塾の卒業生たちでした。「藩校」や幕府の経営する学校の出身者だったわけではありません。
これからの企業経営のあり方として重要なのは下記の2つではないでしょうか。
① できる限り民間資金で活動を行う。
② 多国籍化を進め、特定の国の政策に縛られない経営を行う。
塾においても上記のような経営を実現したいと思います。
Written by Desaki