パリ在住の海洋生物学者ソフィア(ベレニス・ベジョ)が、環境保護団体メンバーの若い女性ミカ(レア・レヴィアン)から驚くべき情報提供を受ける。3年前にソフィアが北太平洋で追跡調査を行っていた巨大なアオザメのリリスが、なぜかセーヌ川にさまよい込んでいるというのだ。 

折しもパリでは、オリンピックのプレイベントであるトライアスロン世界大会の開催を間近に控えていた。 

やがて体をまっぷたつに食いちぎられたような男性のむごたらしい遺体が発見され、ソフィアはセーヌ川の警備を担当する水上警察の指揮官アディール(ナシム・リエス)とともに、パリ市長に大会の中止を訴えるが……。 





















「ジョーズ」以来様々なサメ映画が作られたが、たいがいはサメのモンスター性を強調したB級モンスター映画かZ級モンスター映画くらい。 

だけど今作は、そんなキワモノ映画とは格が違う。オリンピックの開催を控えたフランスはパリのセーヌ川を舞台に、海洋汚染により突然変異したアオザメがセーヌ川に迷い込んで人間を襲うという、かねてより問題になっていたセーヌ川の海洋汚染とサメ映画を絡めるという「シン・ゴジラ」的硬派なメッセージ性。 

海洋汚染の追跡調査の為にアオザメにつけていたビーコンを使って、アオザメの位置を特定して捜索し、凶暴化したアオザメをセーヌ川から追い出そうとするソフィアとアオザメを捕獲駆逐するためナワバリ意識や高いプロ意識からソフィアとぶつかり合うパリ警察とアオザメを海に戻すのを優先しようとする環境保護運動家ミカとオリンピック開催しか頭にないパリ市長の対立やせめぎ合いを絡めつつ、神出鬼没のアオザメのリリスと人間のソナーなどを駆使した知能戦がスリリング。 

中盤のカタコンベを舞台にしたアオザメの大虐殺ショー、捲土重来を誓うソフィアや警察や軍とアオザメの死闘がセーヌ川を真っ赤に染めるクライマックス、某大ヒット怪獣映画のようなイヤな余韻を秘めたオチまで、サメ映画の王道を守りつつアップデートした傑作サメ映画。

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