1960年、英国統治下の香港。中国・潮州から仕事を求めて香港に来たホー(ドニー・イェン)たちは、彼らは当時“悪の巣窟”とも恐れられていた九龍城砦に身を寄せていたが、あるときヤクザ同士の争いに助っ人として参加したことで警察に逮捕され、その際に現場を指揮していたイギリス人警官ヘンダー(ブライアン・アーキン)がホーに怪我させられたことを逆恨みし、警察署内でリンチを受ける。

 そんなホーの腕力に注目した警察署長ロック(アンディ・ラウ)は、ホーを助けた。 

やがてホーは、まもなくして仲間のカジノでの不手際の落とし前をつけるために、黒社会の世界へ身を寄せることに。 

ホーは、親分チウ(ベン・ウ)の下で働きながら頭角を表し、恩義を感じていたロックが数年後、対立する警察幹部トン・ガン(ケント・トン)とマフィアの陰謀で追い詰められていたところを窮地に陥ったところを救う。 

しかしその際、ホーは裏切りの制裁として親分チウに片足を砕かれてしまった。 

これを機に両者の間に友情が芽生え、以後、共闘しながら、ホーは麻薬王として、ロックは警察上層部に出世しつつ権力を手中に収めていく。

 「イップ・マン」シリーズのドニー・イェンと「グレート・アドベンチャー」のアンディ・ラウが共演、汚職が蔓延し黒社会と繋がっている警察が市民を恐怖に陥れていた時代に実在した黒社会(香港マフィア)のボス、ン・シックホーと警察署長ルイ・ロックをモデルにし香港警察と黒社会の関係を活写した実録犯罪ドラマ映画。 























 1970年代のイギリス統治下の香港を舞台に、警察内部でもマフィアの中でもイギリス人が幅をきかせている現実を変えて一攫千金を狙う為に、南京条約の統括が及ばない九龍で麻薬取り引きで巨万の富を得ながら、商売敵を抑えるホーとホーから得た情報と金を手に警察内部でのし上がるロックが、表と裏でのし上がる「スカーフェイス」的な暗黒街成り上がりものと警察とマフィアの凄まじい駆け引きと戦いを描く「インファナル・アフェア」を足したような濃厚な香港ノワールに仕上がっている。 

内務調査課にロックが追い詰められ、弟ピンの為にマフィアのボスのチウとイギリス人警官に逆らうホーが、運命が狂っていく後半は、友情が巨大な権力に踏み躙られていく香港ノワール独特のほろ苦い後味があり、男っぽい田舎の青年から成功と仲間と家族の為には冷酷非情になれるホーをアル・パチーノを彷彿とさせる鬼気迫る熱演で演じたドニー・イェンとしたたかだが義理堅いロックがハマっているアンディ・ラウのワルの魅力に圧倒された香港ノワール映画。 

「富と自由は、天が決める」