ヤクザの尾形に土下座させられ、編集者の木原は練馬の空手道場へ通い強い男に変身したのだが……。男なら誰しも強くなりたいと思う! 

 ――新宿で飲んだ帰りに、ヤクザの尾形にからまれて、土下座させられたサラリーマンの木原が、一念発起して、練馬の空手道場に通い始めた。

「強くなりたい。ケンカに勝ちたい」の一心で、男の腕前は、めきめき上達した。

 不倫のホテル帰りに、再び同じヤクザの尾形にからまれた木原は、若いOLの手前、りきんだのだが……。

 「餓狼伝」の夢枕漠が描く異色格闘技長編ロマン! 

 ミニコミ紙の編集者として、小説家の夢を燻らせながらも、それなりに自負を持って生きてきた木原は、空手道場に通う今江がヤクザの尾形を叩きのめす現場に出くわしてしまい、逆恨みした尾形に木原は叩きのめされ土下座させられる。 

暴力に怯え、土下座させられた屈辱、いまひとつ自分の才能を試すことなどに踏み込めない弱い自分を鍛え直す為に社会人向けの空手道場に通い始める木原。 

そこで出会ったのは、自分の空手の才能を疑い自分の道を決めるのを迷っている今江、腎臓の病気を抱えている岩木、元ヤクザの組長の柏木など、様々な迷いを抱えて空手を習う中で自分の弱さや悔いや屈託と向き合い自分の中の何かを超えようと足掻いている戦友(とも)だった。

 戦友(とも)と拳を交え、酒を酌み交わす中で悩みや葛藤などを打ち明け合い、お互いに刺激を受け合いながら成長していく。

 自分の才能を見切ることに迷っていた今江の成長に刺激された木原が、小説家の夢に再挑戦する決意を固めたり、自分に屈辱を与えた片岡のボクサーを挫折しヤクザに身を落とした暗い過去を知り、片岡との修羅場を潜り抜けて「逃げない」強さを身につける大人の青春ドラマを軸にした「本当の強さ」を問う大人の格闘青春小説。