落ちこぼれの高校生マサル(金子賢)とシンジ(安藤政信)は、高校が受験ムードになっても悪戯やカツアゲなどをして勝手気ままに過ごしていた。 

ある日、カツアゲの仕返しに連れて来られたボクサーに一発で悶絶したマサルは、自分もボクシングを始め舎弟のシンジを誘うが、皮肉にもボクサーとしての才能があったのはシンジであった。

 ボクシングの才能がないと悟ったマサルはボクシングをやめ、以前にラーメン屋で出会ったヤクザの組長(石橋凌)のもとで極道の世界に入り、二人は別々の道を歩むことになる。 

高校を卒業しプロボクサーとなったシンジは快進撃を続け、マサルは極道の世界で成り上がっていった。 

しかし、ジムの先輩ボクサー・ハヤシ(モロ師岡)からボクシング界の悪しき慣習を吹き込まれたシンジは、安易な道を選択するようになり、大事な試合で惨敗。 

一方、敵対する組から組長を狙撃され、親分に反抗して粋がるマサルもヤクザの制裁を受ける。 

若さが裏目に出て苦い挫折をした二人は、通っていた高校の校庭でかつてのように自転車の二人乗りをしていた。

シンジは冗談混じりに本気の質問をマサルに問いかけた。 

「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」

「バカ野郎、まだ始まっちゃいねぇよ」 

北野武、バイク事故後の監督復帰作。 



















たとえ親友同士でも才能の優劣があって人生の道筋が別れてしまったり、才能の限界や悪い先輩の甘い言葉で足を引っ張られ挫折したり、真面目に働いても不幸にあったりほろ苦い青春模様がリアル。挫折した主人公ふたりに対する目線に武の優しさが感じられる傑作青春映画。

安藤政信の抑えた演技が、印象的。