バーニー(ダスティン・ホフマン)は、せこいコソ泥。 

ある夜、息子と映画に観に行く約束を果たすため向かっている途中、彼の目の前で飛行機が墜落する。

飛行機に閉じ込められている父親を助けてくれと頼む子供に頼まれて、嫌々ながらも煙の立ちこめる機内から負傷者を救出した彼は、乗客の財布を失敬して姿を消す。 

 事故機に敏腕レポーターのゲイル(ジーナ・デイビス)がのりあわせていたことから、マスコミ挙げての “謎のヒーロー"探しが始まる。 

 しかし、名乗り出たのはバーニーではなくハンサムなホームレス、ババー(アンディ・ガルシア)だった。 

バーニーは、盗品のカードを売ろうとして捕まって、仮釈放になるためにババーが受け取った報奨金100万を目当てで自分が飛行機から大勢を救ったヒーローだと名乗り出るが、バーニーの身なりや前科から誰も信じない。 

内心で人助けしたいと思い続けていたババーは、周りの人達に慈善活動を勧め、周りの人達から秘めた善性や良心を目覚めさせていく。

 野心満々なリポーターのゲイルは、そんなババーに惹かれていく。この騒動は、予想外の事件を起こす。 





















バーニーは、スリや盗みで糊口を凌ぎ、嘘つきで皮肉屋だけど、元奥さん曰く「大変なことが起こると突然人間らしくなって、頼りになる」、息子の前では良い人間であろうとするカッコつけなところがある。 

ババーは、車を住居にしているホームレスだが、バーニーから車に乗せてもらった礼に片方だけ靴をもらい、飛行機事故で飛行機に閉じ込められた人達を救ったと嘘をつきヒーローを装ってしまう。 

バーニーは、飛行機事故で飛行機に閉じ込められた人達を救うけど、助けたゲイルのバックを盗みクレジットカードを盗む強欲なところがあり、息子に「世の中は嘘ばかりで油断ならないジャングルだ」とシニカルな説教しつつも「落とし物を警察に届けたら報奨金がもらえる。正直者には良いことがあると息子に教えたい」と言うところがある。 

ババーは、飛行機事故で飛行機から大勢を救ったヒーローを装ってしまいながらも、その立場を利用して周りの人達に慈善を勧め、周りの人の善性や良心を目覚めさせる。 

バーニーもババーも、矛盾だらけだけど、人の役に立ちたい善性がある。 

「人は見かけによらぬもの、悪いことをしながら良いことをする」矛盾を抱えた人間の可笑しみ素晴らしさが、「ブレードランナー」「許されざる者」の脚本家らしいシニカルでユーモラスなタッチで、ダスティン・ホフマンとアンディ・ガルシアの名演技もあり、しっかり描かれている。 

マスコミや世間の「信じたい嘘を広げて信じる」盲目的なところを皮肉る要素が、ちょうどいいスパイスになっているヒューマンコメディの隠れた傑作映画。