2020 年、国を挙げて盛大に開かれた東京オリンピックの終了を機に、この国の景気は恐ろしい速さで失速していった。
今この国では、金を持つ強者だけが生き残り、金のない弱者は簡単に踏みつぶされ、身を寄せ合うことで何とか今を生きていた―。 
自堕落な生活を送っていたカイジ(藤原竜也)は、派遣会社からクズと罵られ、薄っぺらい給料袋を手渡される。 
憤りを感じながらも一缶千円に値上がりしたビールを買うかどうか迷っていた。 
「久しぶりだね、カイジくん」「ハンチョウ?」 
声をかけてきたのはスーツに身を包んだ大槻(松尾スズキ)だった。
帝愛グループ企業のひとつを任される社長に出世したという。 
「カイジくん。君もこんなところでくすぶっているタマじゃないだろ?」 
「何が言いたいんだ?」「実はワシと組まないかと思ってね」 
大槻が見せたのは一枚のチラシだった。
【第5回若者救済イベント開催!バベルの塔】
金を持て余した大金持ちの老人・東郷(伊武雅刀)が主催するイベントで、一攫千金のチャンスだ。 
「こんなもの無理だ! 運否天賦のゲームで作戦の立てようもない」 
「その通りだよ。だが裏を返せば、カラクリがわかっていれば勝てる可能性があるわけだ……」 
ざわ…ざわ…ざわ…ざわ… 
運命の歯車は動き出した。カイジを待ち受ける未来は天国か地獄か?
日本中を奮い立たせる最後のギャンブルが今始まる― 
「賭博黙示録カイジ」を映画化したシリーズ完結編。
今回は、原作者が手掛けた完全オリジナルでの完結編。





ゲームを開催するビルの屋上に、据え付けられた長い棒に張り付けられたカードをゲットすれば勝ちの「バベルの塔」。
「友人」「家族」「黒幕」「ファン」それぞれのステージで、お互いの総資産を金塊に変えてお互いの価値を秤で計り合う人間秤「最後の審判」。
無作為に選んだロープを身体に結びバンジージャンプをして、ちゃんと繋がっているロープだったら勝ちの「ドリームジャンプ」。
3回勝負のジャンケンで、1回は手のひらサイズの金塊を握るグーを出すのが条件の「ゴールドジャンケン」。
渋沢首相(金田明夫)が、企む財政再建という名の預金封鎖を防ぐ資金を稼ぐ為、「若者救済イベント」の主催者・東郷に雇われ、給料の七割搾取される底辺の派遣社員暮らしから脱出するため伊藤カイジが、最強の運を持つ桐野加奈子(関水凪)たちと協力して命懸けのギャンブルに挑む勝負を、カイジと仲間たちがゲームの仕組みを読み解き勝ちを得るための作戦を相手の裏をかき奇想天外な手を打つ「ミッション・インポッシブル」的なチームものとしてほとんどのギャンブルは描いているので、第1作のような相手の手や心理やゲームのカラクリを読むギャンブル戦ではないけど、第2作の「地獄チンチロ」のような相手の作戦や手を読んで先手必勝の策を打つチームものとして楽しめる。
国家が、弱者切り捨てのために預金封鎖するなど、現代日本を風刺してる社会風刺ものの要素が色濃くなっているからこそ、伊藤カイジたち社会の下層階級の人間が上級国民をギャンブルでギャフンと言わせる展開が痛快で、遠藤(天海祐希)や坂崎(生瀬勝久)のカイジに対する意外なアシストがシリーズのファンにはニヤリとさせられるシリーズ完結編。