一度キレたら誰にも止められない“雄牛"という異名で恐れられた男ドンチョル(マ・ドンスク)。今では市場で働きながら、愛する妻ジス(ソン・ジヒョ)と慎ましやかに暮らしている。

一途なジスの存在が、荒んだ生活を送っていたドンチョルを闇の世界から戻してくれた。 

ある夜、些細な諍いでジスを怒らせてしまったドンチョルは急いで自宅に戻るが、そこにジスの姿は無く部屋が荒らされていた。

そして、ドンチョルの携帯に何者かから電話が入る。電話の主はジスを誘拐したと言うが、ドンチョルに身代金を要求するのではなく、逆に金を渡すからジスの事は忘れろと提案してくる。 

誘拐犯の目的は一体何なのか。警察の捜査はままならず、怒りに震えるドンチョルはジスを救うために独自で動き出すが―。 




 前半は、うまい儲け話に騙されそうになりしっかり者の奥さんに怒られるマ・ドンスク、車に追突してきた男に食ってかかるしっかり者の奥さんをなだめるマ・ドンスクなど、「新感染ファイナルエクスプレス」で演じた愛妻家の延長線上にある気は優しくて力持ちのキャラクターの愛敬のある魅力を増し増ししたドンチョルの気の良い愛妻家の愛くるしい魅力を描き、妻がアコギな金融会社と結託した人身売買組織に拉致された後半では鬼神と化したドンチョルがファンタスティック・フォーのザ・シング以上の鉄拳制裁タイムを「人の命を金としか見ていない」鬼畜な人身売買組織を相手に繰り広げるマ・ドンスク版「96時間」は、恋女房には頭が上がらないけど愛する者を傷つけるヤツには容赦しないマ・ドンスクの魅力が、立ちはだかるヤクザたちを豪腕で薙ぎ倒し床に叩きつけるマ・ドンスクの豪腕アクションがたっぷり楽しめる。
拝金主義が幅を利かせ人身売買組織に大金をもらった被害者が泣き寝入りせざるを得ない闇もしっかり描かれたサスペンスアクション映画。