大手飲食サービス会社「ライクダイニングサービス」に勤めていた田中たま子(真木よう子)は、女性へのセクハラやパワハラのまかり通る職場に反発と社長の雨木にセクハラパワハラされ解雇された親友の五月(菊地亜希子)の敵討ちのためにセクハラをした同僚に氷水を浴びせて退職する。

裏原宿の雑居ビルの屋上に、元同僚を集め、朽ちたペントハウスを改装し、ポトフをメインにした手作り重視のビストロレストラン「ビストロ フー(bistro fou)」を開店する。

店舗の運営は当初トラブルが相次いだものの次第に評判が上がり、エリート意識が強過ぎて口先ばかりであることを千佳に手厳しくダメ出しされ「ビストロ・フー」では店のマネジメントに才覚を発揮する新田結実(二階堂ふみ)や極度の対人恐怖症で心病んだ母親のために独学で上手くなった料理の腕を「ビストロ・フー」で発揮する雨木千佳(松岡茉優)や離婚調停中の三千院(臼田あさ美)や弁護士の烏森(YOU)やゲイのハイジ(安田顕)や恋愛依存症の川奈藍里(高畑充希)などそれぞれ問題を抱える「ポンコツ女」の仲間達も次第に結束を固め、働く喜びと生きがいを見出していく。

一方、「ビストロ フー」の裏に位置するライクダイニングの店舗「シンフニック表参道」では、たま子の元同僚・恋人であった門司誠人(東出昌大)がシェフをつとめ、ライバルとして切磋琢磨する。

その後たま子は旧友五月と再会、ライクダイニング社長雨木太郎(杉本哲太)への謝罪を訴える。図らずもパワハラ事件が週刊誌の知る所となり、雨木は辞任、シンフォニックは休業に追い込まれる。

様々な客を呼び込み順調に見えた「ビストロ フー」だったが、些細なクレームを発端に惜しまれつつ閉店を余儀なくされる。

その300日後、海辺に再び集められた仲間達の前に、海の家を改装してレストランを再建しようと意気込むたま子の姿があった。

鬼才坂元裕二が、セクハラ、パワハラ、ジェンダーによる差別や役割の押し付けが幅を利かせる社会で奮闘する女性を描くウーマンライフドラマ。

 




















たま子や川奈藍里は、上司や同僚からセクハラを受けても「上手く強く生きる女性は上司や同僚からのセクハラを上手く受け流せる人だ」と思い込まされ仕事してきた。
たま子の親友五月が子会社で起きた食中毒の責任を押し付けられセクハラパワハラをされたことで、たま子は女性を踏みつける上司や同僚に反撃を開始する。
たま子たちヒロインが、ドラマの中で向き合う男尊女卑的な社会の問題が具体的に描かれている。上司や同僚に服や髪型を似合わないだのいらないアドバイスや体つきを性的な目で見られることを上手く受け流せないと、融通が利かない女性だと思われる。
結婚すると、旦那と子供ふたりの子供の世話焼き役を妻は押し付けられ社会では無能だと思い込まされる、学生時代に女性が渡っていく道は勉強か恋愛に制限されてしまう、男に嫌われないように出来る料理は肉じゃがと言ったり彼氏に殴られても自分が悪いと言ったり女性が自分を下の位置に置かないと社会で渡っていけないなど、上下関係の役割を押し付けられる現実はリアルに女性が向き合う男尊女卑的な社会の問題。 
それだけでなく、「仕事とは?」「共に生きるとは?」などを絡めて描いていて、坂元裕二脚本お得意の「ごめんなさいばかり言っているとごめんなさいって言わせる奴ばかりが近づいてくる」「どうしてしずかちゃんがダメな男や乱暴な男と一緒にいるか分かりますか?」「信じていないのに得意料理は肉じゃがって言わなきゃいけない、彼氏に殴られても私の方が悪いんだって言わなきゃいけないっていう宗教に入っているから嫌いなんです」「男は勝てば女に愛されるけど、女は勝てば男から愛されない」「男の人って自分より頭の良い女性に出会うと女って怖いで片付けるよな」「自分は自分で作るの」などリアルなセリフが共感するし 背中を押されます。
第3話で千佳がたま子たちに厳しいダメ出しするシーン、第4話で結美と藍里が自分のポリシーをぶつけ合うシーンと結美が面接で自分のことをセーラームーンごっこに例えて語るシーン、第5話で藍里がたま子に思いのたけをぶつけるシーン、第6話でストーカーで同僚の池辺に藍里が池辺に殴られた跡を見せ「ケーキが好きだからといってまずいケーキまで好きなわけないじゃないですか。好きな男は好きだけど嫌いな男は嫌いですよ」とリベンジするシーンと買い出しの帰りに嫌いあっていた結美と藍里がイヤフォンで同じ音楽を聴き千佳がふたりに「生きていて良かったな、生きような」というシーン、第7話で母から離れる決心した千佳がたま子に「ここで思う存分仕事がしたいです」と言うシーンなど心震える熱くなる名シーンがたくさんあり、現実で男尊女卑的価値観に向き合う女性だけでなく、男性にも見て欲しいヒューマンドラマ。
真木よう子や二階堂ふみや松岡茉優や高畑充希などの演技派女優のアンサンブルも、見応えある。