雪に覆われた過疎の町。東京から大津馬中学校3年1組に転校してきた野咲春花(山田杏奈)は“部外者”として扱われ、日々壮絶なイジメを受けていた。
春花の唯一の味方である同じく転校してきたクラスメイトの相場晄(清水尋也)を心の支えに、必死に耐える春花だったが、クラスの女王的存在・小黒妙子(大谷凛香)の取り巻きのイジメグループによる嫌がらせは日に日にエスカレートしていく。
そんなある日、激しく燃え上がる炎が春花の家を覆い尽くす。春花の妹・祥子(玉寄世奈)は大火傷を負いながらも辛うじて助かるが、両親は命を落としてしまう。
思いもよらない悲劇に遭遇した春花の心が次第に崩壊していくなか、事件の真相が露見することを恐れたイジメっ子たちは春花に自殺するよう強要。
だが、それをきっかけに春花は事件の真相を知り、家族を奪った彼らに己の命を懸けた凄惨な復讐を決意する……。
押切蓮介の傑作コミックを映画化。




























「先生を流産させる会」「ライチ光クラブ」などで、思春期の若者の歪んだ愛情と執着そしてどす黒い情念を描くことに定評のある内藤瑛亮監督と「渇き」「血と骨」などフィルムノワールに定評のある唯野未歩子が脚本を担当しているだけに、過疎化の著しい村に住む若者の歪んだ連帯感と閉塞感、歪んだ愛情と執着のすれ違いと同調圧力がエスカレートさせるいじめの残酷さ、いじめの首謀者の小黒妙子と被害者の野崎春花の歪んだ友情と愛情と執着と嫉妬を中心としたどす黒い青春模様が、丁寧に描かれている。
原作コミックで読者にトラウマ的衝撃を与えた、いじめの残酷描写、釘で目を突き刺す、鉄パイプで執拗に殴る、ナイフで顔面や足などを切り裂く、肉片を撒き散らす除雪車などの残酷なバイオレンス描写、春花と妙子がかつては仲良しで春花と相場が少しずつ心通わせるキラキラな青春模様の対比が、すれ違ってしまった彼らの切ない末路の切なさを際立てている。
原作コミックのイメージ通りの熱演を見せる山田杏奈などの若手演技派のアンサンブルが見応えある傑作雪国青春ノワール映画。


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