『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』『一人交換日記』と、自らの人生を描いてきた永田カビ。新たに得た友人との交流、漫画家としての活動、親との葛藤などを経てたどり着いたのは…入院!? いままで気付けなかったこと、いまだから気付けたこと、そのすべてをセキララに描き出す衝撃コミックエッセイ! 
デビュー作から今まで「無条件の愛の表現として抱きしめられたい」という欲求が、友達の友達の漫画家友達に抱きしめられたことで満たされた。
今まで人間の心がないんじゃないかと思い傷つけられたことから母親を憎んだこともあったけど、母親を自分とは違う人間と思えたことから逆に母親の優れたところを認められるようになった。
自分が親族の集まりに参加して良いのかと不安だったが、意を決して祖母の家を訪れた時、祖母が「よく来た。来てくれて嬉しい。元気な姿を見せてくれて嬉しい」と自分を歓迎してくれて、祖母が自分を受け入れてくれて嬉しかった。自分で自分を認められるようになれたら、祖母や母親に愛を返せるようになれるのかもしれないと思えた。
母親に1冊目の著書を見せた時「ショックで泣いた」と言われ、メディアで取り上げられて印税が入って来ても、「有名になるより、身の回りの家事が出来て欲しい」と言われ、全部むなしくなり自分の著書を殴ってしまった。だがボディトーク療法で、怒りや悲しみは徐々に小さくなった。
新しい下書き原稿(ネーム)が描けず、話の作り方を忘れたのではないか、このまま消えてしまうのではないかとの不安から酒に溺れた。
30歳の誕生日に家族で思い出ビデオを見て、自分が愛されていることを再確認出来た。
心身の不調がつのり、入院することになった。
掛かり付けのお医者さんによると、「うつというのは、生きるエネルギーが減ってダムの底の木が見えている状態。生きるエネルギーを増やすには、何も考えず何もしない時間を過ごすこと」と言われ、入院している時に何もしない時間が長く罪悪感を感じたけどこの言葉を聞いた時に楽になった。
看護士さんに、自分の寂しさがつのり内に内に入り込んで自分を傷つけてしまった気持ちを上手く言葉にしてくれて嬉しかった。
入院中の収穫は、酒を飲むのは寂しさがつのるからというのが分かり、酒量を減らせたこと。加藤諦三さんの「うつ病は重症でなければ2週間で良くなる、もし」を読んで、自分の苦しさだけでなく他人にも興味を持ち交流することの大事さを学んだ。
家族旅行をすることで、「愛し愛されることを家族内で実行出来ている」と思えた。
今の目標は、自分の外に目を向けて他人に興味を持ち、不安に囚われず、楽しく生きること、自分をいじめず生きること、フィクションのオリジナル漫画を描くこと。
巻末に掲載している「チカちゃんの憂鬱」は、永田カビさんの著書を発売した時の世間の反響や批判に対しての違和感や反感や自分を理解してくれている友人がいることの嬉しかった気持ちがファンタジーアクション漫画の形で反映していて面白かったし、もっと読みたいと思えた。
漫画家友達や看護士さんや主治医からの愛を実感出来たから、母親や祖母の愛を素直に受け入れることが出来たことが丁寧に描かれているし、家族が良いところも悪いところもある人間と思えたら過大な期待をしたりせずに済むし、世間の価値観を押し付けてきても大人と話し合えるのかなと思えた、永田カビさんの新境地が見えるコミックエッセイ。
「愛がこの病気の薬なら、きっと良くなる」




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