大阪、天神製薬の顧問弁護士で実直な国際弁護士ドゥ・チウ(チャン・ハンユー)が目を覚ますと、昨日の天神製薬のパーティーでドゥ・チウを誘惑しようとした社長秘書の女の死体が横たわっていた。
パーティーでドゥ・チウは謎の女・真由美(チー・ウェイ)と出会い2日後の再会を約束して別れたが、帰宅後の記憶がなかった。
現場には彼が犯人だと示す状況証拠があり、突如として殺人事件に巻き込まれてしまったドゥ・チウは、罠にはめられたことに気づき逃走する。
一方、孤高の敏腕刑事・矢村(福山雅治)は独自の捜査でドゥ・チウを追いかける。
だが、彼に近づくほど事件に違和感を覚え、徐々に見解を変えていく。
ついにドゥ・チウを捕らえることに成功した矢村だが、彼の無実を確信し警察への引き渡しを拒否。
ふたりは真実を追い求め、事件の裏に隠された陰謀に迫っていく。
その鍵を握るのは、ドゥ・チウに近づいてきた謎の美女・真由美であった。
そして天神製薬のもう一人の顧問弁護士から聞いた天神製薬が密かに開発中の新薬の秘密、ドゥ・チウが3年前に勝訴した企業秘密漏洩の裁判、ドゥ・チウの逃亡を助けてくれた坂口(倉田保昭)から聞いた高額報酬の製薬会社の仕事が関わっていた。
警察や政財界に太いパイプを持つ天神製薬の陰謀に、ドゥ・チウと矢村刑事は命懸けで立ち向かっていく。
果たしてドゥ・チウと矢村刑事は、天神製薬の陰謀を挫き、ドゥ・チウの潔白を証明出来るだろうか?
1976年に公開された「君よ憤怒の河を渉れ」を、「グレートウォール」のチャン・ハンユー&「三度目の殺人」の福山雅治のW主演でジョン・ウー監督が再映画化。





















日本映画に多大な影響を受けたジョン・ウーらしく、冒頭の和風居酒屋でのハ・ジオン演じるレイン&アンジェルス・ウー演じるドーンの女殺し屋コンビがヤクザを皆殺しにする華麗なガンアクションに始まり、堂島川を舞台にしたハイスピードな水上バイク・チェイス、真由美の別荘を舞台にした殺し屋バイク軍団とドゥ・チウ&矢村刑事&真由美の死闘での日本の銃規制を逆手に取ったドゥ・チウ&矢村刑事の二人2丁拳銃の様々なバリエーションのガンアクションや日本刀アクション、クライマックスではドゥ・チウ&矢村刑事と三元雅芸さんたち殺し屋軍団のバトル、ハ・ジオン演じるレインと屋敷紘子さんの死闘、ドゥ・チウ&矢村刑事と黒幕のバトルまで、階段を滑り落ちながら二人2丁拳銃乱射や長い棒を2本使った矢村刑事のアクションやドゥ・チウが蹴った日本刀を矢村刑事がキャッチして敵を切るなど、ジョン・ウーお得意の華麗なガンアクションと日本アクションのハイブリッドな組み合わせが見事。
冒頭の和風居酒屋でドゥ・チウが居酒屋の女将に化けたレインと高倉健主演「君よ憤怒の河を渡れ」の話で心を通わせたり、チャン・ハンユー演じるドゥ・チウが寡黙で武骨で男っぽいのが高倉健をイメージしていたり、高倉健主演映画などへのリスペクト&オマージュがちりばめられていたり、階段を滑り落ちながらの2丁拳銃乱射やバイク軍団とのバトルや閉鎖的な空間に潜んだ敵とのバトルや「狼・男たちの挽歌最終章」でのダニー・リーのようにドゥ・チウに成りきって矢村刑事が現場検証するシーンなどジョン・ウーのセルフオマージュがちりばめられているのもジョン・ウーのファンにはニヤリとさせられる。
「狼・男たちの挽歌最終章」「フェイス・オフ」でお馴染みの追う者と追われる者同士であるドゥ・チウと矢村刑事の最初は敵対関係だったのが、事件を追う中で正義を追い求める者同士の共闘関係になっていく変化、警察の証拠を鵜呑みにし天神製薬を勝訴させることで生じた過ちを償いたいドゥ・チウの思い、命を捨てるような捜査活動をしていた矢村刑事の心情の変化が、アクションシーンの中で雄弁に描かれている。
男の友情に加えて、ヤクザに絡まれたところを助けてくれたドゥ・チウに惹かれながら恩ある天神製薬社長の任務との間で引き裂かれそうな苦悩をするハ・ジオン演じるレインの葛藤、結婚式当日に正義感から企業情報を暴露し告発しようとした恋人を殺された真由美の復讐心と恋人の意思を継いで戦う決意と、ツイハークのアドバイスが生かされたヒロインの熱いドラマが、よりヒロイックでロマンチックな味付けをしている。
ジョン・ウーの集大成であり、日本のアクション映画のオマージュが込められたハードボイルドサスペンスアクションの傑作。
「男には死に向かって飛ぶことが必要な時がある


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