2009年、19歳で鮮烈な監督デビューを飾った「マイ・マザー」から最新公開作「たかが世界の終わり」まで、世界の映画界で存在感を発揮してきた28歳のグザヴィエ・ドラン。
その全監督作について語られる本邦初公開のドキュメンタリー。
ドラン本人の映画作りに対する思いやこだわり、観るものの記憶に鮮烈な印象を残してきた過去作における名シーンの誕生秘話……。
ヴァンサン・カッセル、マリオン・コティヤール、ナタリー・バイなど、ドラン作品に出演してきた名優たちや、彼の才能にいち早く目をつけ、バックアップしてきたカンヌ国際映画祭総代表ティエリー・フレモー、ガス・ヴァン・サント監督といった映画人が、新世代の象徴と謳われるドランの魅力を語り尽くす。
監督デビュー作「マイ・マザー」を制作した時、所有していたマンションを売却して吹き替えの仕事で稼いだギャラも注ぎ込み資金が底をついたどん底でカンヌ映画祭で上映が決定して資金を得やすくなった苦労話。
幼いグザヴィエ・ドランが、グザヴィエ・ドランの親戚の映画評論家に試写会に連れて行ってもらい、グザヴィエ・ドランが好きな映画からたくさん学んだこと。
グザヴィエ・ドランは、撮影する時に、撮影監督やスタッフにグザヴィエ・ドランが撮ったイメージショットや雑誌の切り抜きを見せてイメージを共有する。
グザヴィエ・ドランは、撮影する時にシーンに実際流す音楽を流すことでシーンの動きや流れを掴みやすくする。
グザヴィエ・ドランは、映画配給会社や撮影監督などの意見を寛容に受け入れ、指摘したところを完璧に修正して満足させる。
シーンごとの画面比や長さやセリフや照明や衣装に、グザヴィエ・ドランは徹底的にこだわり、衣装は材料やデザインまで考える。
グザヴィエ・ドランが映画で使ったヘアスタイルが、ファッションの流行になるくらい。グザヴィエ・ドラン監督作が、世間でいう「普通」からはみ出した人間が主人公であることに込められた熱い思い。
グザヴィエ・ドラン監督作の制作上の秘密が良く分かるし、グザヴィエ・ドランが「タイタニック」がいかに名作か熱心に語るところなど映画愛に満ちた人間であることが良く分かるドキュメンタリー映画です。
ただグザヴィエ・ドラン監督作のテーマの一つの「母親との愛憎関係」についてはあまり踏み込んでいないのが、残念。


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