持つものと持たないもの。欲するものと欲さないもの。二種類の女性、母と娘。高台にある美しい家。暗闇の中で求めていた無償の愛、温もり。ないけれどある、あるけれどない。私は母の分身なのだから。母の願いだったから。心を込めて。私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました──。それをめぐる記録と記憶、そして探索の物語。 

「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」

著者入魂の、書き下ろし長編。


一見すると愛し合う家族のように見えるが、実は「庭に花が咲き乱れる美しい家で幸せそうに暮らす家族」という理想像に捕らわれた虚像の家族だったら。

そして、数年前の土砂崩れをきっかけに、母と娘の愛し方にすれ違いが、生じてしまう。

愛を一心に捧ぐ母親と母からの愛と信頼を求める娘。もしも大人になっても娘を持っても、母からの愛を一心に求めてしまう娘のままだったら?

娘が、母親からの信頼と愛を得られないなら、どう育つのか?

母性愛とは、先天的なものなのか?後天的なものなのか?

母性愛がもたらす裏表を描いた傑作ミステリー小説です。
















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