爆弾投下について | 彼女が結婚したとしても

爆弾投下について

風の音がうるさくて目が覚めた。あまりにそれが突発的ですさまじいものだったから

東京のどこかに爆弾でも落とされて、その爆風がきたのかと思った。

僕の想像はどこか終末的だったりするのだ。

本気でその可能性について確認しなければならないと思い、テレビをつけてNHKを見た。

意識的には、NHKのことを信用しているわけではないが、こういうとき自然とチャンネルをNHKに

するというのは無意識的にはNHKを信用しているのかもしれない、と思った。

意識よりも無意識の方が正しい判断をすることもあるのかもしれない。

事実、ほかのチャンネルでは普通にくだらない番組を放送していたが

NHKでは、番組をやりながら文字情報で電車が遅延になったり、運休になってるということを

伝えていた。しかし、風の原因について触れられてはいなかった。

これにより、爆弾投下の可能性はないということが理解でき、テレビを消した。


しばらく、ベッドで横になったまま風の音を聞きながら無意識と有意識について考えた。

特に答えがでるわけもないことを考えることも比較的好きな方なのだ。

自分の言動について無意識と有意識について考えてみた後に、彼女のそれについて考えてみた。

彼女が無意識的に言うことは、僕を喜ばせたり、悲しませたりすることについて考えた。

相反する2つの感情を抱かせるのは、彼女と僕の関係がとてもシリアスな関係だからなんだろうなと考えた。

つまり、彼女は僕のことを好きだから無意識的にそれを伝えてしまう言動をとったりすることもあるが

6年もともに過ごしている男がいるものだから、そしてその男と結婚してしまったという認識もあるだろうから

それを無意識的に伝えるケースもあるんだろうと、思った。

シリアスな関係か、と思った。


冷蔵庫の中もすっかり何もなくなっていたから、何を買わないといけないか考えながらシャワーを浴びた。

・インスタントコーヒー

・お茶2ℓ

・食パン

・チーズ

・バナナ

・ヨーグルト

・納豆たくさん

を買おうと決めて、スーパーに行ったがこれら以外にもたくさん買ってしまった。

・レタス

・きゅうり

・トマト

・ハム

・ソーセージ

・コッペパン

・卵

僕はスーパーでは無駄な買い物をしがちな人間だ。その瞬間にサンドウィッチを作りたくなっただけで

大量に買い物をしたことについて、そして、コーヒーを買い忘れたことに気付いて

少し後悔しながら突風の中歩いて帰ってきた。

作ったサンドウィッチは、ハムときゅうり、チーズとレタスとトマト。それぞれ、マスタードをつけて食べた。

新鮮な野菜のサンドウィッチは美味しい。少なくともこの時は歩いていたときの後悔はなかった。

そう。僕は物事を良いほうに考える癖があるのだ。


食べ終わって、読みかけの本を読んでいたが、性的な描写になったときに

彼女のことを考えすぎて、小説の内容について考えることすらできなくなって本を閉じた。

彼女とセックスをしそうでしなかったことについて考えた。

ストッキングの上から、彼女に触れたことについて、彼女が僕のキスと愛撫に感じていてたことについて

考えた。ほんの少しだけしてくれたフェラチオについて考えた。

そして、今夜あたり、きっと彼女が男に抱かれるんだろうな、と考えた。

相変わらずの絶望的で、終末的な思考になり、ジムに行くことにした。

何も考えることができない状況に自分を追いやるしかなかない。

今はあまりに辛すぎる。


*


ジムでは2キロ泳いで、腹筋と背筋を中心に鍛えた後に、20分間走った。

体重は順調に減っている。

筋肉もどんどんついていってるし、締まった体になりつつある。

挙句の果てには、なぜか性欲まで強力になってきている。

困ったものだ。相手がいない。


*


ロックグラスに、氷を何個か入れ、たっぷりとロックのウィスキーを作って少しだけ

ソーダ水を入れてちびちびと飲みながら今この文章を書いている。

何もなかった1日を振り返りながら。

何も起こらないであろう1日を予想しながら。

決して良いとは言えない想像をして、あらゆることに嫉妬しながらウィスキーを飲んでいる。

ある場合においては”いつも通り”に。


こんなことなら本当に爆弾でも落ちれば面白いのに、と思い、たった今、それを戒めた。