サウスポーの男と集中力がない男、その他見たもの、考えたこと
9時半に目が覚めたけれどコップ1杯の水を飲んでもう1度寝ることにした。
日曜の朝の陽の光は、12月と思えないくらい暖かったけれど部屋は十分寒かった。
もう一度毛布に包まり光を浴びながら眠りについた。
10時過ぎまで寝て、彼女からのメールに返信をした。
簡単にシャワーを浴びて、タオルで髪を拭きながらメールをチェックした。
彼女からのメールに返信し、髪を簡単に乾かしデニムを履いて、Tシャツを2枚着た。
メールを何度か送受信しながら、アウターを着て、帽子を被って外に出た。
今日のプールからの眺めは最高だった。
青だけの空が手が届きそうなほど近くにあった。
いつも通り1000メートルほど泳いで、いつも通りトレーニングをした。
ひたすら胸、背中、腹、腰を重点的に鍛えた。
汗がTシャツを最初はしっとりと、後にはぐっしょりに濡らした。
一通りのサイクルが終了し、シャワーを浴びて髪を乾かしてから外に出た。
歩いて讃岐うどん屋に向かった。うどんに、きすのてんぷらと、さばのおにぎりを付けた。
それから公園の前にあるカフェのテラス席にコーヒーを飲みながら座り本を読んだ。
本を読みながらたまに公園を見ていた。
秋が終わりを告げた公園は、どこかうら寂しいものだったけれど
黄色と茶色の落ち葉で埋め尽くさていて、どこかぬくもりも感じられた。
公園では若いカップルがギターを弾いていた。
その演奏と歌があまりに終末的だったものだから、僕はこの世の終わりを感じてしまった。
比較的広い公園の一角は緑色のフェンスで囲まれた
ちょうどプールと同じくらいの空間があった。
そこでは、1組の親子と大学生たちがキャッチボールをしていた。
大学生の一人は左利で見栄えがよかった。
しかし、フォームがデタラメだったものだからコントロールが悪く目も当てられなかった。
もう一人はまじめにキャッチボールすらできない集中力がない男だった。
あらゆるフォームで投げることを試し、左利きの青年が捕れないところばかりに投げていた。
それが楽しいんだろうな、と考えながら、目を本に戻して、煙草に火をつけた。
また本から外に目を向けて色んなものを見ながら意味のないことをあれこれと考えながら
時間が過ぎて帰ることにした。
電車で帰ろうかと思ったが、歩くことにした。
せっかくだし、何分で家まで着くか測ってみることにした。
スポーツシューズを履いて、比較的いいペースで歩いた場合のタイムはジャスト15分だった。
おそらく普通のペースで歩けば20分くらいなんだろうなと思った。
賃貸物件の表示で駅から徒歩15分と書いてあることを思い出して
僕が住むのには適さないなと思った。
家に着いて、スキーのゴーグルを買い換えようと思っていたことを思い出して
電車に乗って買いに行った。
彼女にメールでそれを伝えた。返信はないとわかっていたけれど送った。
街には、カップルや家族や友達同士の”組”をなした人たちで混んでいた。
大きなボードケースを持った人を何人も見かけて、冬だなと思った。
欲しかったゴーグルはなく諦めた。正確に言うと欲しい価格では売っていなかった。
同じゴーグルが同じ街で6000円も違う価格で売っていることに
需要と供給のバランスにより価格が決まるんだなと考えながら電車で帰った。
6000円高くても買うやつはいる?と考えながら少し混乱しながら帰った。
外で冷えた体をホットカーペットの上で温めている途中に眠ってしまった。
彼女と僕の家のホットカーペットの上で毛布を被りながら眠っている夢を見た。
目覚めた彼女が僕の名前を優しく呼んで、夢の中の僕は目を覚ました。
彼女を見ると、とても優しく微笑んでいてそれを見た僕は彼女にキスをした。
そんな夢を見て、とても幸せな気分になった。
煙草に火をつけて、そのことを彼女にメールで伝えた。
返信はないとわかっていたけれど送った。
*
泳いでいても、トレーニングをしていても、うどんを食べていても
本を読んでいても、公園を見ていても、家まで歩いている時も
スキーを見ていても、駅までの道とその居酒屋を見て、その帰りの電車でも
彼女のことを考えている自分がいる。
今日がそうであったように、”今は”彼女と共に生きることは出来ない。
けれどそれが”今だけ”であることを願ってる。
* * *
ただ、願っている。