ピエロの作り方
勝者が存在するところにはすべからく敗者がいる。
幸せな人がいる反面、不幸な人もいる。
金持ちが搾取し、貧乏がいる(僕は社会主義者ではないが)。
光があるところには必ず影がある。
彼女と結婚できた人がいて、結婚できない人がいる。希望の反面で絶望がある。
こういった二元論はよく唱えられる。
ここで「光と影二元論」と勝手に名付けることにする。
この光と影二元論の続きを考えてみると、おもしろいことがわかった。
勝者はずっと勝者でいれるか心配だろうし
敗者はずっと敗者ではないか心配だ。
何かを勝ち得た人間はそれが手からこぼれ落ちていくのを恐れ
それを欲しがる人間はそれが一生手に入らないのではないかと恐れる。
光にだけ照らし続けられる人間は、影を恐れるだろうし
影の人間は光が一生差し込まないのではないかと恐れる。
彼女を手に入れた人間は、彼女がずっと自分だけを愛してくれるか心配し
傍らで自分は、彼女だけを愛していけるかを心配する。
彼女を失った人間は、彼女が二度と手に入らない恐れを抱く。
光と影二元論は、ごくシンプルに物事の表面を捉えている点で優れている。
しかし、こうしてもう少し先を考えてみると二元化されていないことがわかる。
勝者も敗者も2点のところに落ち着く。
すなわち、
1.強い人間はほとんどいない。みんな恐れ、不安を抱いている。
2."努力"はとても重要ということである。
*
彼女を失った。
僕は敗者だ。反面には勝者がいる。
勝者は勝者の苦悩をもち、敗者は敗者の苦悩と絶望と持つ。
どちらも弱い人間だ。
どちらも、それを根拠なき自信に置き換え、虚勢をはる。
虚勢は夜の涙へと変わり、翌朝の腫れたまぶたと赤い目に変わる。
朝には、また虚勢をはり、それはいつしか努力に変わる。
努力は時に純粋なものかもしれないが、それが実らない場合
最終的には、自らへの偽りとなる。
自らのへ偽りは、素直な心を徐々に奪っていく。
素直に生きれなくなり、人の幸福を純粋に喜べなくなる。
それがだめなことだとわかっているから、心を閉ざす。
そうして、孤独な人間が出来上がる。
孤独を悟られまい、涙を見られないために、皆の前でおどける。
面白い人、そう言われる。
結構だ。
だが、実にくだらない。
一流のピエロだ。
*
だけど、君の前では心から笑っていれるようにしたいんだ。
こうなってしまったけど、まだそうしていたいんだ。
だから、ほんの少しでいい。おれに力を貸してくれ。