【前回までのあらすじ】
経済的合理性を追求すれば組織の分業制に行き着くが、2次的なリスクや不確実性を完全には防ぐことができない。さらに上を目指すならば、不確実性とどう向き合っていくのか、という問いに行き着くのだった。

さて、だとするならば、トップダウンの戦略や、組織、集団の構成のようなマクロな視点から、一歩内面に踏み込んで、「個」というミクロな視点はどうなっているんだろう、というかどうしたらいいんでしょう。

デイビット・ルイスは「慣習」(1969)で共通知識という概念を導入しました。集団における共通知識となるには、

「みんながそれを知っている」では不十分で

「みんながそれを知っているということを、みんなが知っている」

必要であるのです。そしてこれが集団にとって効力を持つためには

逸脱したものは、だれであれ間違いなくつけを払わされるようなものではなくてならないし、

このことをメンバーの共通知識となっていければならない。

泣いて馬謖を斬る

諸葛亮は、馬謖を切るだけなく、切ったことをみんなが知る必要があった

ということでしょう。

参考文献
マイケル・トマセロ, 2013, WHY WE COOPORATE