僕は、試写会には映画の内容を敢えて深く知らないまま行くことが結構多いのですが(変な先入観なしに見れたら、などとも思ったり)、この映画ROOMもタイトルとこの母と子が抱き合っているイメージ、そしてアカデミー賞主演女優賞受賞のトピックスぐらいしか頭に入れずに見に行かせてもらったんですが、写真のイメージから、母1人子1人だけど、ハートウォーミング的なストーリーなのかな?と勝手に思っていたりしたのですが、まさかこういった内容の映画だとは思わず、より印象深い作品となりました。
ストーリーは、簡単に言うと監禁されていた少女がその異常犯罪者である男の子供を宿し、やがて閉じ込められた世界、ROOMで、2人での生活が始まって、その子がこの閉じ込められた世界での生き甲斐となり、映画はその子供が5歳の誕生日を迎えるところから始まり、そして、命懸けの脱出を計る…という話なんですが、まず、この脱出劇が今まで味わったことのないタイプのハラハラドキドキと言うか、ここまで、なんとか成功してくれ無事に逃げ切ってくれ、と感情移入して思ったのはないんじゃないかと思うぐらいのスリル、臨場感で、そして、実はその先、ROOMを出てからの世界、人生、生きていく苦悩を描いている作品で、今までに僕は味わったことのない系統の映画で、なんて形容すればいいのか分からない感情、複雑な気持ちになりました。
それぞれの登場人物の気持ち、思い、例えば監禁されていた母になった女性の父親の手放しに喜べないという感情も分からなくないし、あの異常とも思える世界、ROOMは、2人にとっては特別な世界、というかそこが、それが全てでもあったわけだし、絶望の中だったから希望になったけど、果たして普通の世界だったらどうだったのか、そして、この事実、現実とともに2人は生きていき、やがてこの子が大人になる時、果たしてそのことをどう伝え、乗り越えていけるのか…など先のことまで考えしまう、それほどの尾を引く映画でありました。
母親役のブリー・ラーソンが見事第88回アカデミー賞主演女優賞を受賞して話題でもありますが、この5歳の息子役の子供の演技が、アカデミー賞に子役賞があれば間違いなく受賞しているであろうと思われる演技も、いや演技が、この映画に引き込まれる大いなる要素でもあると思います。
映画「ROOM」4/8より公開です。