このほど、大手菓子メーカー「不二家」の埼玉工場が消費期限が過ぎた牛乳を使って、シュークリームを製造し出荷した問題が判明。ほかにも、この工場で賞味期限が過ぎたりんごの加工品を使ったり、基準を超える細菌が検出された洋菓子を出荷した事が判明した。
「不二家」は、品質管理が徹底されるまで、洋菓子の製造と販売を見合わせることにした。この措置は当然のこと。
私はこの報道に接して、同業の「雪印乳業」の食中毒事件と子会社「雪印食品」による牛肉偽装事件をオーバー・ラップして思わざるを得ませんでした。
その事件とは、「雪印乳業」は1950年設立の乳業メーカーですが、2000年に引き起こした食中毒事件と、2002年に引き起こした、子会社「雪印食品」による牛肉偽装事件で消費者の信頼を失い、経営危機に瀕した事件です。
私はこの際、「雪印乳業」の食中毒事件について、当時の新聞を取り出し、調べてみました。
同事件の概要は、2000年3月31日に北海道大樹工場で停電が発生、その復旧後も脱脂粉乳が高温のまま放置されたため、黄色ブドウ球菌が大量に発生した。この非衛生な脱脂粉乳を原料に低脂肪乳などを製造販売した。
その結果、死者1名含む、1万3400人の食中毒事件に発展した。あれから7年近く経過した現在も、「雪印乳業」の負った深手は完全には癒えていません。
「不二家」と言えば、ペコちゃん、ポコちゃんで親しまれる、洋菓子メーカーです。私は、「不二家」は、同業の「雪印乳業」の事件を他山の石として、食品会社としての「企業風土の刷新」が、どうしてなされなかったのだろうか?私は、大きな疑問を感じざるを得ません。
食品会社と言えば、消費者の食生活を守る立場の企業のはず。言い換えれば消費者の健康を左右する企業だ。
食品の消費期限管理とか細菌の基準管理は、食品会社として基本の基本。消費者は、食品会社を信頼している。まさか食品会社が、消費者の健康を損ねる行為はしないと思っている。その消費者を裏切る行為は、結局、企業存続の危機を招かざるを得ない。
今後消費者の「不二家」に」対する信頼は、「雪印乳業」事件を見ても分るとおり、容易には回復しないと思う。
己が蒔いた悪しき種は、自ら汗して刈り取っていただきたい。