☆☆☆時計会社はエレキに強い・・・[そのⅡ] | 真空管のアナログ世界に魅せられて

真空管のアナログ世界に魅せられて

「温故知新」と言う言葉が有りますが、真空管は将にそんな存在だと思います。真空管を今では知る人も少なくなりましたが、デジタル全盛の今でも、真空管のアナログ技術を学び、真空管ラジオを楽しむ人は沢山います。私もその中の一人です。真空管を愛しむ想いで・・・・。

ベル報道によりますと、昨日、小田原の酒匂川の上流で、何人かの鮎釣りの人達が、集中的なな雨による濁流に流されましたが、今日一人の尊い命が失なわれ事が確認されたそうです。


私も、川釣りは、好きなほうなので、他人事と思えません。


携帯さて、昨日に続き、時計会社の頑張りに付いて書きます。

時計会社のC社が開発した、「ポケット液晶テレビ」は、モノクロテレビ映像を観ることが出来るほか、AM ラジオを聞くことが出来ます。このテレビの特徴はバックライトが付いていない事です。


液晶は、自分自身で発光しませんので、バックから照明する必要が有ります。この照明には、特殊な "冷陰極ランプ" を液晶の背中部分に組み込ことで、正面から映像を明るく、観る仕組みになっています。液晶のパソコンとかテレビも同じです。


ところが、C社の開発したテレビには、バックライトが付いていないのです。尤も、当時は小型のバックライトは開発途上で、まともな物は無かったと言う特殊事情も有りましたが、これが重大な開発ネックでした。これでは、街を歩きながら、テレビ映像を観る事が出来ません。そこで、技術者達は考えました。何とかバックライトに替わる手段はないものかと・・・。


この難題で、ポケットテレビの開発断念の瀬戸際に立たされた技術者達は、地獄で一筋の光明を求める思いで、必死に考え研究しました。そんな厳しい環境の中、一人の技術者の脳裏に、ハット閃いたことが有りました。そのヒントは、ポケットテレビは、室外で観るものだと言うことをです。外には、燦燦と降りそそぐ太陽の光が有るではないかと。バックライトの替わりに太陽の光を使用すればいいのだと。これは、あとから考えれば実に簡単な事かも知れませんが、「コロンブスの卵」的苦労の産物でした。


現代の液晶テレビとか液晶パソコンには、液晶のバックライトが必ず付いていますが、このライトの消費する電力は全体の1/3以上にも達します。この為、モバイルパソコンとか携帯テレビの電池の消耗が激しい訳です。


ところが、C時計会社のポケットテレビは、先に説明しましたとおり、バックライトが有りませんから電池が長持ちします。欠点としては、暗い場所ではテレビを観る事ができません。これが欠点と言えば欠点ですね。


もう一つの工夫は、太陽光が液晶パネル通過して、再現された映像を、鏡に写して観る事にした点です。このため、テレビ映像を斜めから間接的に観る事になり、一寸不自然なテレビ観賞になります。


その後、大手の家電会社が、このポケットテレビの分野に進出しましたが、この時計会社が発売してから相当後の事でした。この時点で、C社は、ポケットテレビ事業から撤退、本業の時計事業に回帰、専念する事になりました。この素早い決断も見事な物でした。


このテレビと言う、エレクトロニクスの塊とも言うべき難しい技術に挑戦したお陰で、同社のソーラ時計、電波時計などの開発に弾みがついた事は、疑いの余地が有りません。

ポケットテレビを本業の電気会社に先駆けて、取り組んだ苦労は、現在の電子時計に生かされ、立派に開花したものと思います。


反射テレビ上