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東京都庭園美術館で現在開催されている
『1933年の室内装飾 朝香宮邸をめぐる建築資材と人びと』を拝見してまいりました。
庭園美術館は過去にも幾度か訪れている筈ですが、
今回は私が年齢を重ねたからでしょうか…
とても落着いて建物の隅々まで拝見をすることが出来ました。
東京都庭園美術館は、旧朝香宮邸です。
竣工は1933年、生まれながらに尊いとされる方々がご自身のご趣味を
反映させてこのような邸宅を建てることができた時代を想像致しますと
様々な想いが去来いたします。
ともあれ、この邸宅がアール・デコ建築の傑作であることは間違いありません。
世界的に見ても文化財としての価値が高く、永く守っていくべき建築物だと
思います。隅々まで(言葉正しく、本当に部屋の隅々に至るまで)
美意識を行き渡らせた素晴らしい設えは感嘆するばかりです。
これほどに美意識の行き渡った建築物が、宮殿としてではなく
邸宅として残されていることは非常に貴重だと思います。
帰りがけにミュージアムショップで購入したこの本は
さすが鹿島出版会の書物と思える良い出来の書籍です。お勧めです。
帯文が朝香宮邸の素晴らしさをとてもよく言い表していると思います。
娘が同行しましたが、「ママ、さっきから石のことばかり言っている。」と
鑑賞途中に指摘されました。
この建物に使われている石は
書籍の帯文の通り「極上の石」…ばかりなのです。
もう恐らく産出しなくなっている大理石も多くあるだろうと思いながら
一部屋一部屋の石を確認し、頭の中で自分にクイズを出すがごとく
産地の推定をして楽しんでおりました。
帰宅後、書籍で産地を確かめほぼ全て正解でしたので
とても嬉しくなりました。
非常に選び抜かれた極上の石材と、恐ろしいほど人の手がかけられた、
木材、金物、ガラス、タイル、漆喰など…
そしてルネ・ラリックが手がけたガラスの照明、パーテーション…
天然物である石材と、抜きん出た職人たちが関わったであろうと思われる
各種素材の調和する様は、１棟の建築物が巨大なジュエリーであるかのような
究極の美を湛えているように私には感じられました。
建物の竣工からまだ86年しか経っていないにも関わらず、
現代では再現不可能な技術がそこかしこに見受けられ、
その事実に愕然とも致しました。
この建物の女主人であった朝香宮鳩彦王妃允子内親王は
抜きん出たセンスをお持ちの方であったと想像が出来ました。
建物竣工の半年後42歳の若さでご薨去なさったそうです。
妃殿下が描かれた水彩画を拝見することが出来ましたが、
実に感じが良い絵で、並々ならぬ才能を持った芸術家たちが手がけた空間の中で
妃殿下の水彩画が発光しているかのように美しく見えたことが
印象的でした。
写真の本の裏表紙を確認いたしますと、この本のデザインは
かつて句会を頻繁に共にさせて頂いた方がなさったことが分かりました。
20代だった私が非常に恵まれた句会に出させて頂いていたことは
今だに信じられない感があるのですけれど、その様な経験に恥じない
仕事をしていきたいと思っております。
この展示は9月23日(月)まで開催されています。
夏のお散歩にお勧めでございますよ♪
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