このお話は水たまりに住む一匹の寝ぼすけガエルと???の芽との
ちょっと悲しいお話です。
第十話 別れ
芽さんは花がなくなってから、日に日に枯れていきました。
カエルさんはそんな芽さんを心配し、芽さんを元気づけようと特製の栄養水を作って芽さんに与えたり、芽さんと出会ってからの楽しかったこと嬉しかったことを話してきかせたり、芽さんを一生懸命励ましました。
ですが、芽さんは元気を取り戻すことはありませんでした。
そして、ある夜カエルさんは夢を見ました。芽さんと二人で広々とした草原の上でひなたぼっこをしている夢です。
その夢の中で芽さんはカエルさんにこう言いました。
『カエルさん。いままで本当にありがとう。とてもとても楽しかったよ。カエルさんと出会えて本当に幸せだった…。別れるのはさびしいけど、きっとまたカエルさんに会える日がくると信じているよ。カエルさん…いままで本当に本当に心からありがとう。わたしはずっとず～っとカエルさんのこと忘れないよ。だからカエルさんもわたしのことを忘れないでね……。』
芽さんは夢の中でそう言うと一粒の涙を流し芽さんの前から姿を消しました……。
その夢に驚いたカエルさんは慌てて飛び起きました。「芽さん……？」
カエルさんが目を覚ますと芽さんは枯れ果てカエルさんの頭から抜け落ちていました。
「芽さぁぁぁ～～～～～～ん！！！！！！」
カエルさんは大声で泣き叫び、芽さんを抱き上げました。
「芽さんどうして？どうして死んじゃうの？芽さん！おいらをひとりぼっちにしないでよ！！芽さんがいないとおいら生きていけないよ！！そうだ…ほら？二人で指切りの約束したの覚えてるでしょ？二人でいろんなところに行って、いっぱいいっぱい思い出を作ろうって約束したでしょ？芽さん！目を覚ましてよ！！ううっ………」カエルさんは芽さんに訴え続けましたが、カエルさんの声はもう芽さんにはとどきませんでした…。
とても悲しい芽さんとの別れ。
残酷なようですが、これは仕方のないことなのです。厳しい現実なのです。
しかし、カエルさんはその現実を受け止めることができませんでした。何日も何日もずっとずっと芽さんを抱きしめたまま何も食べずに芽さんが元気になるのを待っていました………。
…つづく
最終回は、来週の月曜日、4月10日公開予定です。どうぞお楽しみに。（笑）
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