このお話は水たまりに住む一匹の寝ぼすけガエルと???の芽との
ちょっと心和むお話です。
最終話 ずっと一緒
芽さんがいなくなりカエルさんは長い間何も食べていませんでした…。
そのせいでカエルさんはすっかりやせ細り、もう生きる気力も失っていました。
そんなカエルさんを心配して、近くに住むアマガエルやサンショウウオじいさんなどがカエルさんを励ましにやってきていましたが、カエルさんは元気になることはありませんでした。
しかし、サンショウウオじいさんは何も食べないカエルさんをしかりつけ、無理矢理にでもご飯を食べさせていました。
そのおかげでカエルさんはなんとか生き延びていました……。
そして1年が経ち、外はいつものように晴れやかでした。カエルさんはなんだか久しぶりに外を見たくなりました。
カエルさんがうつろな目で外を見ると、なんとそこには無数の芽さんの花畑が広がっていました。
カエルさんは驚いて涙が溢れ、思わず大声で叫びました。
「芽さんが帰ってきた!!!芽さんがおいらのところに帰ってきた!!!芽さんがおいらのところに……ううっ…。グスッ。」
1年前、芽さんの綿ぼうしから飛んでいった種が開花し、無数に花を咲かせていたのです。
そしてカエルさんはふらふらと外に出ると、芽さんの残した花畑の中に寝っ転がりました。
「芽さん帰ってきてくれたんだね。ありがとうありがとう。おいら信じていたよ…。」
カエルさんはとてもとても嬉しくて芽さんの花畑に何度も何度もありがとう。ありがとう。とお礼を言いました。
「芽さん。せっかく会えたのにおいらなんだか眠くなってきたよ。
実を言うといままで芽さんが元気になるのを待っていたからあんまり眠ってないんだ。
やっぱりおいらはいつまでたっても寝ぼすけだね。へへっ。」
カエルさんはそう言うとそのまま芽さんの花畑の中で眠ってしまいました。
大好きな大好きな芽さんに再び出会えたことでとても安心したのでしょう。
その後、カエルさんは少しずつ元気を取り戻していきました。
そして、カエルさんは元気を取り戻していくうちに、芽さんからもらったたくさんの大切なものに気が付きはじめたのです。
いままでひとりぼっちだったカエルさんは芽さんに出会うことにより喜びや楽しみそしてときには悲しみ。それにたくさんの友達を作ることができました。
カエルさんは芽さんからもらったいろいろなものを強く実感し、そして芽さんに深く感謝しました。
カエルさんは空を見上げ心を込めて芽さんに「ありがとう」と言いました。
その後、カエルさんはあのとき芽さんと約束した「開花の日」を毎年かかすことなくみんなで祝いました。
たくさんの友達に囲まれ、そして毎年咲かせる芽さんの花畑に見守られながらずっとずっと平和に、そして幸せに暮らしましたとさ。
…おわり
↑カエルさんと芽さんの話をいままで読んでくださった皆様方。本当に心からお礼を申し上げます。皆様、長い間ありがとうございました。