
このお話は水たまりに住む一匹の寝ぼすけガエルと???の芽との
ちょっと切ないお話です。
第九話 綿ぼうし
それは明朝のこと。カエルさんがなにやら泣きながら大慌ての様子です。
どうしたのでしょうか…。

「芽さんの花がなくなってるよ!芽さんの花が病気になっちゃった~。わぁ~ん!」
カエルさんが慌てていたのは芽さんの花が綿ぼうしへと変わっていたからです。
花が綿ぼうしへと変わるのは植物の自然の摂理ですが、カエルさんはそのことを知らず芽さんの花に何が起こっているのか分からずにいたのです。
「大変だ!早く病院へ行かなきゃ!!早く病気を治さなきゃ!」
カエルさんは気が動転し、芽さんを早く病院へ連れて行こうと必死になっていました。

ですが、芽さんはカエルさんの肩をチョンチョンとたたくと『大丈夫だよ心配しないで』といっているかのようにカエルさんが病院へ連れていこうとするのを止めました。
「どうして?早く病院へ行かなきゃ芽さんの病気は治らないんだよ。」
カエルさんは不安で不安で仕方ありません。不安で不安で仕方のないカエルさんは強い口調で芽さんにこう言いました。
「おいら芽さんになにかあったら生きていけないよ!!
ぜったい病院へ連れて行くんだ!!」
カエルさんは芽さんが止めるのを振り切り強引に病院へと向かおうと外に飛び出しました。

その時です。……それは一瞬の事でした。
カエルさんが外に出たとたん強い突風がビュビュ~ッと吹き荒れ、その突風により芽さんの綿ぼうしが全て飛ばされてしまったのです。
「芽さん?」突然の事でカエルさんは頭が真っ白になりました。
「芽さぁ~~~んっ!!!」
カエルさんは急いで急いで一刻も早く病院へと急ぎました。
病院へ着き先生が現れるとカエルさんは先生にお願いをしました。
「先生!芽さんを助けてください!おいらなんでもするから。芽さんのかわりに死んだっていい!だから…だから芽さんを助けてください!!芽さんになにかあったらおいらおいら……」

そして一時の時間が経ち、カエルさんと芽さんが病院から出てきました……。
どうやら芽さんは無事だったようです。
「芽さん本当に無事で本当によかったね。おいら安心したよ。花はなくなっちゃったけどまたすぐに花は咲くよ♪元気だして。ねっ?」
カエルさんは芽さんを励まし、心から芽さんの無事を喜びました。
芽さんは『ありがとう』とカエルさんにペコリと頭を下げました。ですが芽さんはあまり元気がない様子です。

………そうです。芽さんはわかっているのです。
無くなった花はもう咲くことはないと…。
そして植物は種子を飛ばし子孫を残すと死んでしまうのだと。
そしてその事をカエルさんはまだ知りません。
植物の命は儚く短いのです……。
…つづく
お話の続きは、来週の月曜日、4月3日公開予定です。どうぞお楽しみに。(笑)


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