遠州七不思議~舞阪町の波小僧。 | 菊蔵の「旅は京都、さらなり」(旅と歴史ブログ)

遠州七不思議~舞阪町の波小僧。

以前、遠江国説話集ブログでもご紹介しました「波小僧」。


この話は、「波の音」の話として、「遠州七不思議」の一つにあげられていますが、一ヶ所にとどまらず、話の内容が変わって、西区の舞阪町、伊佐見町の他、浜松市全域に広く分布しています。


昨日のブログでご紹介した、「東海道松並木」の西端に休憩所があり、この伝説を題材にしたモニュメントがありました。



             波小僧




「波小僧」が所収されている伝説集には、怪物と書かれているものもありますが、このモニュメントはユルキャラのようですね。





台座の銅板には

むかし、遠州灘の浜では、地引網漁が行われていました。魚が取れない日が続いたある日、真っ黒な小僧が網にかかりました。漁師たちは気味悪がり小僧を殺そうとすると、小僧は「私は海の底に住む波小僧です。命だけはお助けください。その代わり、ご恩返しに、海が荒れたり、風が強くなったりする時は、海の底で太鼓をたたいてお知らせします」と言うので、海に戻してやりました。それ以来、天気の変わる時、波の音がするようになったと伝えられています。


遠州七不思議より


と書かれています。


だから太鼓を膝に乗せているのですね。


「波の音」に関して市内他地区の話では、浜北区では海坊主、北区引佐町では行基菩薩や空海が関係した藁人形。南区では怨霊が叩く太鼓の話があります。

おそらく台風接近などの天気予報の話で、このような話は九州や北陸の海に近い場所にも伝わっているそうです。



史料や文献もかなり手に入ったので、「遠州七不思議」を連載するのも近いです。
七不思議といいながら、七以上あるのが不思議なんですがね。




参考文献

『遠州七ふしぎの話 第一集』(御手洗 清 遠州伝説研究協会 昭和五十九年)

『遠江国の伝説』(小山枯柴 羽衣出版 平成七年)