(文章が長いのでご注意ください)ムンバイが暑すぎるので、ヒマラヤのお膝元シッキムにやって来ました。


シッキムにも空港は出来たはずですが、ムンバイから直行便があるわけでもないので、バグドグラ空港まで行って、そこから陸路を取ることにしました。


4年前にバグドグラからダージリンに行ったことがあったので、おんなじ感じを想定していましたが、実際来てみるとシッキムの方が山奥なのでさらにハードルが高かったです。


空港からの車は事前に手配せず、空港でプリペイドタクシーみたいなのを拾うつもりで来ました。ダージリンに行った時はちゃんと旅行代理店にトヨタのイノーバを手配してもらっていましたが、今回はもうインド在住4年を越えてるし、まぁ大丈夫だろうという楽観的想定。


シッキムに入るには入境許可書が必要です。空港のシッキム観光局?のデスクにパスポートとビザのコピーと顔写真を提出し、手書きの許可書をもらいます。費用はゼロで、人が並んでいなければすぐに出してもらえます。プリペイドタクシーの相場を聞いておくかな、と思って窓口の人に聞いてみたところ、プリペイドタクシーは使えないから、ドライバーを呼んであげる、とのこと。費用は4,500ルピー。すぐに電話してもらって、その場で待っていたら、空港の出口まで来てくれました。


駐車場まで行ったところで、その人はドライバーではなく、車は今向かってるから、と言われます。やたら無駄に多くの人が介在するインドあるあるです。その人はずっと電話で何か話し続けているので、ほんとに大丈夫なんだろか、と思っていたら、車が来ました。マルチスズキの軽です。その時点で車種が何だって行ければいいと思っていましたが、後になってちゃんと手配しておけばよかったと後悔する羽目になるのでした。


仲介してくれてお兄ちゃんによると、今の時期はピークシーズンのため、シッキム観光局の許可した車でないとシッキムまで行けないんだとか。ほんまかいな?と思いながら、とにかく車がスムーズに見つかってよかった、と安堵したのでした。


念のためウーバーだったらどれくらいのコストと時間がかかるのか見てみましたが、4,800ルピー、時間は3時間とのことでした。観光局アレンジの方が良心的なお値段です。


3時間で着くなんて思ったより早くてよかった!と思っていましたが、そんなにインドは甘くなかったのでした。


空港を出たのが15時前。元々5時間はかかると想定してたので、ホテルには20時頃到着と伝えていました。しかし、空港のあるシリグリを出るまでの道で、まず渋滞。ドライバーがパーミッションを取りに寄り道するからと途中で少し待たされたのも多少時間をロスした気がします(そんなの常に携帯しといてくれ)。


シリグリを出るまでに1時間以上かかって、それだけでげんなりしましたが、山道に入ってくると、グーグルマップも使えなくなってきて、一体到着までどれくらいかかるのか、読めなくなってきました。さらに、以前ダージリンに行った時よりも、道が悪い。モンスーン前の駆け込み道路整備の途中のためか、舗装の無いところもちらほら。さらに、工事のため交代しながらあっちの車線の車を通して、それからこっちの車線が通して、とやってるところもあって、完全に止まるケースもちらほら。そして、走り始めて2時間くらいでドライバーのトイレストップ。


舗装無しの道を軽で行くのはまぁまぁキツいです。しかも、長時間のドライブ。半分近く来たところで頭痛がし始めました。長距離を運転してもらうんだからなるべくドライバーに気持ちよく運転してもらおうと思って、ずっと我慢していた爆音のインド音楽に耳が耐えられなくなった模様です。なんちゃって耳栓は携帯していたので、それを装着してみましたが(最初からしとくべきだった)、ほとんど効果が無いので、やむなくドライバーに音楽のボリュームを下げてもらうようにお願いすると、下げてくれました。


それからさらに走り続けて、カリンポンに差し掛かりました。既に3時間半が経過。そこで、ドライバーが20分休憩しようと言ってきました。ホテルのレストランや、カフェなどが並んでいる地点です。既にとっくに日が暮れていたので、私は一刻も早くホテルに着きたい気持ちでしたが、ドライバーに連続長時間運転してもらうのも申し訳無いので、OKしました。


トイレになるべく行かなくてすむように水分も取らないようにしてましたが、さすがに到着までまだ2時間はあるので、用を済ませ、チャイを飲みました。16分くらいでクルマの近くに戻ったらドライバーは近くに座ってスマホを見ていました。邪魔しないようにと思ってその辺りをウロウロしてちょうど20分でクルマに戻ったら、ドライバーが消えていました。その辺を探しましたが姿がありません。どうしようもないので待ちましたが、帰って来ない。5分経過、8分経過、10分経過…実はお腹も空いてきていましたが、シッキムのホテルでちゃんとディナーを食べる、と心に決めていたのでチャイしか飲まなかったので、空腹もあってかなりイラつきはじめたところでドライバーは帰って来ました。後どれくらいかかる?と聞いたら、2時間と言われて、かなりげんなりしました。それがちょうど19時。


そこからまた気の遠くなるような暗闇でのドライブが続きます。夕方よりも交通量は減りましたが、それでも対向車もそれなりにいます。そこから30分でシッキムの州境に来ました。ドライバーが車を停めて、反対車線に陣取ってる係員に入境許可書をみせてハンコもらってくるようにと言います。とにかく早く着きたい一心で、走って行って許可書を見せたら、それはどこで入手した?と言われて、バグドグラ空港、と言うと、係員が黙って車の方に歩いて行ってドライバーと話しています。…なんかヤバい雰囲気…


ドライバーが、ここじゃなくて別の外国人専用チェックポイントに行けって言われてる、と言うではありませんか。…待って、それどこにあんの?どれくらい遠いの?と思いましたが、聞いたところでもうどうしようもないので黙って車に乗り込みました。


横道に入ってから10分ほど走って、ここで降りて許可もらってきて、とのドライバーの指示です。指さした先には人だかりが出来てます。何なんだ、これ並んでたらまた時間かかるじゃん…と、また心が折れそうになります。仕方無いので並びました。途中で絶対抜かされたりしないように、前の人にぴったりついて並んでいたら、ひとつしか対応してなかった窓口の横の窓口が開きました。群がる人々。新しく開いた窓口の方が若干早くサバいていて、そちらの人だかりが少し減りました。前にいた人たちに、そっちに私並んでもいい?と聞くと、そっちは違うから、と言われて同じ列にとどまりましたが、やっぱりそっちも同じ対応をしてるので、そちらに並び直しました。私の前にいたお兄ちゃんたちは、おそらく私が殺気立っている気配を読んで、黙って行かせてくれました。そして、いざ私の番。なんでそんなに時間がかかるのかと思ったら、手書きで入境許可書の内容をノートに書き写しているのです。名前、パスポート番号&ビザ番号、それぞれの発行日と期限、などなど。対応してるのがかなりのおっちゃん達で、薄暗がりでやってるのもあって、書き写す作業自体が遅い遅い。そして、私のビザは隣のおっちゃんに確認しながらやっていて、思わず「読み上げましょうか???」と言ってしまったほどです。無視されましたが。


そこでまた20分あまりをロスし、もはや半狂乱の体で車に戻って、再出発。そこからは初めて見るシッキムが思ったより栄えていて気が紛れましたが、座りっぱなしでお尻が痛いのと(やはり長時間この山道を軽で来るものではないと後悔)また頭痛が襲ってきて(いつの間にか音楽のボリュームが元に戻っていたようです)、半ば拷問だと思いながら、何とか21時にホテルに着いたのでした。


UBERの3時間という予想到着時間を見ていなければ、元々の想定では20時到着だったので精神的遅延は1時間で済んだんでしょうが、最初に間違って18時に着くと期待してしまっていたのがよくありませんでした。そして、冷静でいられなくなるから、空腹になるべきではナカッタ、と反省。


シッキム到着時の気温は16度。ひんやりしてオーバーヒートした脳みそを冷やすのにはもってこいです。