デリー空港の手荷物検査場はカオスです。


インドのどの空港もカオスですが、デリーの空港は、建物に入る時のIDチェックの列も、手荷物検査場の列も、カットインしてくる輩のアタック率が他所よりも少し高い気がします。したがって私はこの空港が嫌いです。地方の空港で、検査官がやる気なさ過ぎてやたら手荷物チェックに時間がかかるのも嫌いですが、デリーは総合的に見てマイナス点が高いです。


今日はチェックのためにトレイに手荷物を載せてベルトコンベアーに載せるところで、次から次にカットインしてくるインド人に圧倒されて、台に辿り着けない白人の若者がいました。次々と抜かれながら困惑してフリーズしているので、思わず笑ってしまいました。「めちゃくちゃですね」と話しかけたら、その若者は私が敵では無いと判断したのかちょっとホッとした様子でした。すると後ろからまたオバはんがカットインしようとして来たので、「ちょっと、後ろに列があるんだけど」と押し戻し、その若者に隙間を作ってあげました。


無事に手荷物をベルトコンベアーに流し、身体検査を経て、荷物受け取り側へ周りました。先程の若者に「どこから来たの?」と聞くと、「アメリカ」との回答。「あなたは?」と聞かれたので、「日本」と言うと、そこまでは英語でしたが、なんと日本語で、青森に住んでます、ちょっとだけ日本語分かります、と言うではありませんか!


インドのカオスで、人を押しのけて列に加わらない品の良さが、私にはとても尊いものに思えました。こんな人が我が国に住んでくれていて、日本語を話してくれることがなんとも言えずありがくて、思わずありがとうございます、と日本語で言ってしまいました。若者には何のこっちゃい?という感じだったかもしれませんが(笑)、とにかくその瞬間に私の胸にわきあがった感謝の気持ちを表明したかったのです。


この国では、人が多いから競争過多になるのはある程度仕方が無い。さらに、この大陸のど真ん中では、四方からの外敵にさらされる過酷な歴史の過程で、お行儀良くなんかしてこられなかったのかもしれません。でも、それらを勘案しても、やっぱりマナーなさすぎ。MeMeMeなヤツばっかり。カットインするなと指摘すると、びっくりした顔をしたり、おどけてみたりするのもわざとらしくて、異常に腹が立ちます。ここでは、私がアウトサイダー。むしろこちらが変人のような扱いを受けるばかりですが、そんな中で、このカオスに戸惑う私以外の外国人を見て、グローバルで見れば私の感覚がおかしいわけではなかったと確認出来て、とても嬉しかったのでした。