彼の声 2024.9.2 「富の消尽」 | 彼の声

彼の声 2024.9.2 「富の消尽」

voice-164

 現時点でわかっているようでわかっていな
いことというと、それが経済のことであれ政
治のことであれ、何かもっともらしいことが
言えてしまう一方で、それを言ってみたとこ
ろで、言っている内容が世の中の現状から乖
離しているように思われると、それを理想と
現実がかけ離れていると解釈してみても、ま
た言うは易し行うは難しと理解したところで、
そういう言説的な単純化からははみ出るとこ
ろに現実の世界のわかりにくくこんがらがっ
ている面がありそうで、それをうまく説明で
きないから言うだけでは違和感が伴うのだろ
うが、そうだとすると簡単に言えてしまうよ
うなことを信じてしまうとまずいのかも知れ
ないが、それでも簡単に言えることが何なの
かと言うと、良心的な政治家の類いが安易に
富裕層や大企業に増税すればいいんじゃない
かと主張できるようなことなのかも知れず、
それが正しい主張のように感じられるから、
そういうことを主張する政治家の類いを支持
したくなってしまうわけでもなく、実際には
そうはなりづらいことを知っているから、そ
ういう政治家を支持しづらいのかも知れない
し、では実際の成り行きがどうなっているの
かというと、富裕層や大企業には投資させて
保有する富を消尽させるように仕向けられて
いると考えると、それも俄かには信じ難いか
も知れないが、例えば古代に巨石や巨岩を加
工して巨大なモニュメントの類いを建てる行
為が、ただ無駄に多くの労力と手間暇をかけ
ているだけのように感じられるかというと、
果たしてそこで暮らしていた人々の生活の中
でそれらの記念碑的な建造物が何を意味して
いたのかと想像してみると、やはり安易に宗
教的な儀式の類いを思い描いてしまうのだが、
そんなものを造るよりは人々の生活を直接豊
かにする目的で公共的な何かを造れば良さそ
うだが、それも治水事業とか灌漑設備とか都
市施設などで実現したのだろうが、実際には
それよりも支配者のための豪華な宮殿とか巨
大な墳丘墓とかの方が目立ってしまうから、
そういった方面で無駄に富を消尽させている
ように思われるのだが、それもそんな無駄に
巨大な建造物を造れるだけの人数とそれらの
人数が生きていけるだけの経済的な裏づけが
あったからこそ、遺跡として現代でもそれら
が残っているわけで、実際にそんな遺跡を造
れるような巨大な王国や帝国などがかつて存
在していたと想像できるわけだから、人の経
済活動が行き着く先が、そういった無駄に思
われるようなものを造るような成り行きへと
導かれているような気もしてくるわけだが、
確かに普通に考えてイースター島の住民が巨
大なモアイ像を造る必要性などないような気
がするのだが、そんなものを造る手間暇など
かけないで、自分たちの生活をエンジョイし
ていればその方が良かったのではないかと思
うわけでもなく、果たしてモアイ像を造るこ
とが島民の娯楽だったのかと想像する人もま
ずいないだろうし、何かの宗教的な儀式に必
要だったから無駄に手間暇かけて巨大なモア
イ像を造ったのではないかと推測したくなっ
てしまうわけだが、それと現代において大阪
のゴミの埋立地に万博会場を造ったり、カジ
ノ施設やホテルを建てることが同じなのかと
いうと、どう考えても同じとは思えないが、
では奈良時代に疫病が流行して民衆が苦しん
でいるのに、都に巨大な大仏殿を建造したり、
遷都を何度も繰り返した聖武天皇の事績と比
較したらどうなのかと問う人もまずいないだ
ろうが、為政者の勘違いな思い込みがそんな
ことをさせるのだとその場の事情や経緯を無
視して安易に言い放つのも、何かおかしいよ
うな気もするから、どうしても言うとなると、
もっともらしい理由や理屈をつけてそういう
ことをやるのが当然のことのように説明した
くなってしまうのだが、それ自体がおかしい
のに、大阪万博やカジノ事業に反対する理由
をもっともらしく述べるのも、誰もがそんな
ことなどわかっているのにあえて言わざるを
得ないようなもどかしさを感じるわけで、逆
に万博やカジノを推進する理由を説明せざる
を得ない立場になってしまうと、さらなる窮
地に陥ってしまうような感じにもなってくる
のだろうが、そういう無理な理由や理屈をつ
けて事業をごり押しせざるを得ないのだろう
から、またそれがマイナンバー事業をごり押
しせざるを得ない担当大臣にも言えることな
のだろうが、それに反対するにしても賛成し
て推進せざる得ないにしても、そういうこと
を言わざるを得ない立場というのが現実に存
在してしまうわけだから、そうなっている時
点で言説的な困難が実際に進行中の物事の成
り行きから生じているわけで、それをどう捉
えてみても納得し難いかというと、それに関
して何か言っている者にしてみれば、ここで
メディアを通じてもっともらしいことを言い
放って多くの人々から支持や賛同を得たいと
いう嫌らしくも図々しい魂胆や皮算用がある
のかと問われるわけでもないが、それもそん
な成り行きに否応なく巻き込まれているよう
な気もしないではないから、何かこれ見よが
しなことを言いかけてはちょっと待てよと躊
躇するほどのことでもないにしても無性に居
心地の悪さを感じるわけだが、どうしても多
くの人々が求める方向へと思考も感情も言動
も誘導されているような感覚が拭えないから、
かえって警戒してしまうし、それを警戒せず
に不用意にメディアで識者の類いが述べるよ
うなことをSNSなどで述べてしまうと、何
か罠にかかってしまったような焦燥感も覚え
て、これではまずいなと反省するわけでもな
いが、少なくとも現状の世の中で進行中の経
済的な成り行きを重視するなら、行政的なシ
ステムの面での徴税による富の再配分などの
働きが有効に機能するような状況ではないこ
とは理解できるし、それよりは古代より連綿
と続いている富を消尽させるような働きの方
が強く機能しているのではないかと思ってし
まうわけだが、もちろんそれが正しい現状認
識だとも思っていないし、もっと理性的かつ
合理的に行政を機能させるにはどうすれば良
いのかと暇にまかせて日々考えているわけで
もないが、少なくとも富裕層から貧困層へと
ダイレクトに富を移すようなことはできない
し、大企業に増税して中小企業に減税するよ
うなことを簡単に実行できると考えるのもち
ょっと無理なようにも思われるから、そうい
うことを安易に主張する政治家の類いを支持
できるかというと、やはりそれもちょっと支
持するのを躊躇してしまうわけだ。

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