彼の声 2024.4.18 「行政のコスト」 | 彼の声

彼の声 2024.4.18 「行政のコスト」

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 経済活動の中でコストや効率が重視される
のは、それが商品の価格に反映するからだが、
ただ単に価格が安ければ良いというわけでは
なく、その商品の生産や流通や販売に携わっ
ている人々の生活や活動が成り立つ範囲内で
妥当な価格がある一方で、それを消費者が買
わないことにはそれらの人々の生活や活動も
成り立たないわけだから、そういうところか
ら自ずと価格が決まってくると考えるのが妥
当なところだが、同じ商品であれば価格の安
い商品の方が売れる可能性が高まると考える
なら、どうやって価格を下げればいいのかと
なると、効率良く生産して流通して販売して
コストを下げるしかないだろうし、それ以外
には真っ当なやり方がないように思われるか
も知れないが、真っ当でないやり方とは言え
ないが、消費者に幻想を抱かせてブランド価
値を高めて、高くても買ってもらえる商品に
するとか、政府が買わせたい商品に補助金を
出して買わせるとか、また自国の商品を買わ
せるために外国の商品には関税を上乗せする
とか、それ以外にも工夫次第で何か消費者に
買わせるやり方があるかも知れないが、かつ
ての社会主義や共産主義の国々が国家統治に
失敗した主な原因として挙げられるのが、コ
ストを無視した公共投資が行われて行政機構
が肥大化して行って、行政機構に富が奪われ
るに伴って国民の生活レベルが低下して行き、
産業も発展せずに国家的な貧困化が加速した
ということになりそうだが、それを今でも懲
りずにやっているのが北朝鮮かも知れないが、
そういう成り行きとは一見逆のように感じら
れるかも知れないが、大阪で行われている維
新の行政が、コストを削減しているのに府民
の生活レベルの低下を招いていると批判され
ている理由としては、単純に行政サービスの
質を劣化させているからと言えるだろうが、
なぜそれではダメなのかというと、それを市
場原理に当てはめるわけには行かないとして
も、コストや効率を重視するなら、それによ
って行政サービスの質を向上させる必要があ
るわけで、しかも行政の無駄を省いたなら、
その分で税負担が軽くなって、府民の生活レ
ベルが向上しなければならず、そういう方向
で結果的に行政改革によって府民の生活を豊
かにすることができたなら、普通は批判され
ないはずだが、そういう地方自治体レベルで
はやれることに限界がありそうだが、国家レ
ベルでは普通に行政改革に成功したなら、そ
の分で国民の税負担が軽くならないと、行政
の無駄を省いたことにはならず、実際にそう
なっていないなら小さな政府が実現していな
いわけだから、それに関して新自由主義に絡
めた批判が行われていること自体が嘘でしか
ないのだが、今後AIなどを活用して行政の
効率化やコスト削減が行われるにしても、結
果的に行政サービスが劣化してしかも国民の
税負担も重くなるようなら、かつての社会主
義や共産主義の国々と同じとは言えないにし
ても、傾向としては非効率でコストのかかる
行政機構の強大化や強権化に反比例して国家
や国民の貧困化を招いてしまうようなことに
なりかねず、果たしてそんな絵に描いたよう
な逆効果となる成り行きなどあり得ないとは
思いたいところだが、そこにどんな視点や観
点が抜けているのかといえば、そこでの成り
行きを市場原理に当てはめるわけには行かな
いにしても、普通に魅力のある国には人や物
や情報や金が集まってくるから豊かな国にな
るのだろうし、そういうところで国家間の競
争原理が働いていて、少なくとも日本では人
口減少に歯止めがかからないなら、たとえ観
光目的で人が集まってくるとしてもそこに住
みたいとは思わないから、あるいは住みたい
と思っても簡単には住まわせてはくれないか
ら、人口が減少し続けていると単純には言え
ないものの、何かしら障壁があるとしか言え
ないようなことかも知れないし、移民ではな
く自国民が増えるような成り行きに持って行
けばいいはずだが、そんな都合の良い願望に
は見落としている点がありそうで、人口の多
い少ないではなく、そこに住んで生活してい
る人の満足度を高めるような行政が求められ
ているというと、さらにご都合主義的で無い
物ねだりとなってしまうかも知れないが、そ
ういったコストや効率を重視するのではなく、
国債を発行して積極的に公共投資を行なって
国を豊かにするような主張に伴って、税は財
源ではなく国債が国の財源なのだと世界各国
の政府の財政事情の実態を反映した主張をし
たくなる人もそれなりに多くいるのだろうが、
実際に日本でも世界各国でも国民や企業など
の税負担がそれなりにあるわけだから、原理
的には税負担だけでは政府の予算を賄えない
から、国債を発行するのだろうし、そういう
成り行きになっている限りで、税は財源では
ないと強弁するのもちょっと現状を反映して
いないような主張だと思ってしまうのだが、
そういう意味では無税国家が実現しない限り
は、そういう主張はフィクションだと思って
おいても構わないだろうが、その一方で富裕
層や大企業に増税する一方で貧困層や中小企
業の税負担を軽くするような傾向にはそれな
りになっているだろうから、そういう傾向を
徹底して行けばいいような気がするものの、
それも国家間競争を念頭に置くなら、必ずし
もそうはならないと現状を見るしかないのか
も知れず、実際に消費税が富裕層や大企業に
有利に働いているのは誰もが承知しているこ
とだが、そういうところでこれといって納得
できるような理屈にはなっておらず、それが
起因して政府に対して不信感を抱くようなこ
とになってしまうのも理解できるだろうが、
逆に政府に対して批判する口実が何もないよ
うなことになると、それも実際にはそんなこ
とはあり得ないのだろうから、何かしら批判
の口実が誰もがわかるように設定されていな
いとまずいわけではないのだろうが、実際に
そうなっているものだから、そんなわかりや
すい批判の口実に食いついて批判してしまう
人が大勢出現して、その種の言論空間が活況
を呈しているわけで、結果的にそうなってい
るのを後出しじゃんけんのようにして政府の
陰謀だと言うのもおかしいから、そうではな
いと思いたいところだが、それでも結果から
見ればそうなっていないとまずいからそうな
っていると解釈するとしっくりきてしまうわ
けだが、そこでも多くの人々が気づかないと
ころで何か市場原理のようなものが作用して
そうなっているのかも知れない。

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