彼の声 2024.3.8 「通用しない論理」 | 彼の声

彼の声 2024.3.8 「通用しない論理」

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 自らの精神状態が正気でないような気がす
る時に、何かよからぬ先入観に囚われている
わけでもなければ、物事を公平な立場で見ら
れるようなことにもなっていないだろうから、
自分が世の中で何を体験していようと、体験
しているそれ自体に誘導されていて、そうな
っている時点ですでに正気ではいられないの
かも知れないが、何か納得がいくような方向
へと誘導されているように装いたいから、そ
んな誘導されている自らを肯定したいのかも
知れず、そこで正気ではいられない自らを肯
定できるかと他の誰に問われているわけでも
ないだろうが、そうなっている限りで進行し
ている成り行きに沿った振る舞いをせざるを
得ないのだから、そうなるしかないような自
らの行為や行動を肯定するしかないのだろう
が、それに対して当たり前のことを指摘する
なら、すでに公平な立場で物事を判断できる
ような状態にはなっていないのだから、自ら
が囚われているそれを肯定している限りで、
そんな成り行きと心中するしかない自身の立
場や境遇から抜け出られないことが確定して
しまっているのかも知れず、そうなってしま
った人をそこから救い出す必要もないのかも
知れないが、無理に救い出そうとすれば、救
い出そうとする人も一緒に遭難する可能性が
高いから、見捨てるのが賢明な選択になるだ
ろうが、もちろん選択の余地などない場合の
方がよくありがちだから、そこでもその場の
成り行きに従う道しか残されてはいないなら、
すでにそうなっている人にしても、自身が体
験しつつある成り行きに沿って行動している
わけで、それ自体に誘導されてしまっている
から、そうなっている時点で正気ではいられ
ないのかも知れないし、そこでその場の状況
とは関係のない勝手な論理を持ち出して、そ
うなってしまっている人たちを馬鹿にしたり
嘲笑ってみても、そんな人はその場の状況の
中では無視されて相手にされないだろうが、
そんな部外者の立場で信じられる論理という
のが、意外とその場で作用している物事を公
平な立場から見る上で必要な論理となってき
て、もちろんその場の成り行きに囚われてし
まっている人たちが活用できる論理ではない
から、そんな論理はそこでは無視されるしか
ないのだろうが、その場に囚われているわけ
ではない他の人たちは、そんな論理を活用し
てその場に囚われてしまった人たちと同じ過
ちや誤りを犯さないように心がけることがで
きそうだが、ではその論理が何かというと、
それに関して別にややこしいことを述べたい
わけではないのだが、述べようによってはや
やこしく思われてしまうかも知れず、例えば
政治と経済とが直接結びついているように感
じられる状況の中に囚われている人が信じが
ちなことが何かというと、単純に日本政府の
政策がダメだったから失敗したから経済の失
われた三十年がもたらされたという説であり、
安易にそういう説を信じられる人なら、そん
な説に基づいて日本政府がこれまで行なって
きた数々の政策の失敗を指摘して回る人が主
張している内容も信じてしまうだろうが、で
はそうではなく必ずしも政治と経済とが直接
結びついているとは限らないと考えるならど
うかというと、例えば前世紀末のIT革命も
今進行中のAI革命も、アメリカ政府がそれ
を直接画策して全世界がそうなるように誘導
しているわけではなく、ただ単にそうなった
成り行きを活用しようとしているに過ぎない
ことは理解できるだろうし、IT革命の際に
は日本企業がGAFAMなどの巨大IT企業
に太刀打ちできなかった時点で、優劣が決し
たわけだから、また不動産バブルがはじけて
経済が低迷したことも、何かの政治的な陰謀
によってそうなったわけではなく、ただの経
済的な成り行きに過ぎないと見るなら、そう
いうところで政治と経済とが直接結びついて
いるわけではないことが明らかになるはずだ
が、そうなった結果から日本政府に対してそ
の政策的な失敗を批判する主張になってしま
うと、政策が失敗したから経済が長期間にわ
たって低迷したと述べるともっともらしく感
じられてしまうわけで、だからといって批判
するなというわけではなく、それをもっとも
らしく批判したいなら批判していればいいわ
けで、そういった類いの批判のもっともらし
さに感心したければ感心していても構わない
わけだが、そこで何に感心しているのかとい
えば、〇〇したから〇〇になったという言説
的な論理に感心しているわけで、言説の中で
政策が失敗したことと経済が低迷したことを
結びつけているわけだが、経済が長期間にわ
たって低迷したことを政府の政策の失敗に結
びつけているのだから、言説の中では政治と
経済が直接結びついていることになるのだが、
現実の世界ではどうかというと、必ずしもそ
うではないというのなら、ではどうなってい
るのかというと、全く結びついているわけで
はないということではなく、経済情勢に囚わ
れている限りは、その経済情勢の中で政治が
行われていることになるだろうから、では長
期的に経済が低迷していた時期に行われてい
た政治を肯定できるかといえば、もちろん経
済が低迷していたことを否定的に捉えるなら、
その時期に行われていた政治も否定的に捉え
たくなるだろうから、どちらかといえばそう
捉える方がもっともらしく感じられるだろう
が、その一方で例えばアベノミクスによって
長期低落傾向にあった株価が上がったと肯定
的に事態を捉えるなら、それ以前にリーマン
ショックによって株価が下がっていた時期を
無視しているし、さらにそれ以前にITバブ
ルの崩壊や不動産バブルの崩壊によって株価
が暴落したことも都合良く無視することにな
ってしまうだろうが、また現状でも株価が上
がっているのに相変わらず経済が低迷してい
ると情勢を否定的に捉えるなら、果たしてそ
ういうことまでひっくるめて日本政府の政策
の失敗によって経済が長期的に低迷している
と結論づけても構わないのかというと、そこ
まで言及してしまうと他にも様々な要因が作
用して経済状態がもたらされていることを認
めざるを得なくなるだろうが、たかだか株価
の上がり下がりを世界全体の政治情勢や経済
情勢に絡めて説明しようとすること自体も誇
大妄想の域を出ない話になってしまうが、余
りにも関係の薄そうなところから原因を引っ
張ってくるのも説得力に欠けるだろうし、そ
れに関してもっともらしく感じられる言説を
構成するには、たぶん現状では政治と経済の
絡み合いから説明するのが妥当ではあるにし
ても、そういう言説に感心するのは感心する
側の勝手だが、感心したからといって、そう
いう言説によって政治的な主張を構成してい
る人や政治勢力を支持するかというと、それ
もたぶん言説の内容だけが支持するか否かの
判断材料となるわけではなく、他にも様々な
しがらみの類いが絡み合ってきて、その人の
判断を最終的にもたらすのだろうが、そうな
るに際して、どうもあまり現状を深刻には受
け止められないような気分ではあるわけで、
だから政治に対して舐めてかかっているわけ
でもないのだが、結果的にもたらされる状況
や状態がある程度は予想可能な範囲内では、
まだそれほど希望の持てる状況とはならない
ような気がするわけだ。

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