彼の声 2024.1.20 「納得が行かない理由」 | 彼の声

彼の声 2024.1.20 「納得が行かない理由」

voice-160

 それらの見慣れた光景を眺めながら、改め
てそれらとは何なのかと問わなくても、そん
なのは誰もがわかっていることだから、そん
なわけのわからない問いとは別に何を思い浮
かべられるわけでもなく、例えばそこで何か
が音を立てて崩れて行くような幻影を思い浮
かべられるかというと、それが幻影に過ぎな
いことがわかっているなら、いったい何によ
ってそれが幻影に過ぎないことを思い知らさ
れてしまうかといえば、法律が幻影だとした
ら、では法律によって守られている制度とは
何なのかとその正当性が問われるような成り
行きにはならず、制度を恣意的に運用したい
なら、法律も恣意的に解釈せざるを得ないだ
ろうから、法律も制度も絶対に変更できない
わけではないが、別に変更したわけでもない
のに、それらの運用や解釈を柔軟にその場の
状況に合わせて都合の良いように変えている
わけではなくても、なぜかうまく言い逃れが
できる程度には取り繕っているつもりなのだ
ろうが、それでも納得がいかないのは、その
場に居合わせた誰にとってもそう思われる程
度には、それなりに納得がいかないのに、疑
念を覚えながらも押し切られてしまうから、
その程度で済むような調整が施されているは
ずだが、事ここに至ってもなおのことそれが
何のことやらさっぱりわからないとしらばっ
くれるのも、わざとらしくも見え透いた態度
に見えてしまうだろうが、本当にそれで済む
のなら、これまでの努力が水泡に帰すような
ことが起こっているのかというと、水泡に帰
すどころか、ちゃんとその場で有効にごまか
しが機能しているではないかと強弁したいわ
けでもなく、そこでもわけのわからないごり
押しによって押し切られてしまうのだろうが、
押し切られながらも、はいそうですかと形だ
け納得したふりをしながら引き下がるような
態度でも構わないのかといっても、それ以外
にはやりようがない立場でもあるなら、仕方
のないことだと落胆してあきらめるしかない
だろうが、果たしてそんな体たらくでいいの
かと自責の念に駆られる者がその場にどれほ
どいるのか疑問を感じるなら、ほとんどの者
が職業的な使命感を放棄していると見なして、
さらに落胆の度を深めるなら、彼らがいった
い何の職業かもわからないように装いながら
しらばっくれるしかなく、別にそんな使命感
など持ち出さなくても済んでしまうような成
り行きの中で彼らが活動していることになる
だろうから、そこでもその程度の無責任な態
度に至ってしまい、そういうところで期待を
裏切られていることにもなりそうだが、その
場で下手に騒ぎ立てて収まりかけた事態を再
び混乱に陥れるようなことができるかという
と、逆に混乱の極みに達しているようにも装
いたいのだろうから、何がどうなっても狙い
通りの結果がもたらされているとぬかしなが
ら強がって見せればいいわけだが、その場の
状況をどう見ても誰も強がっているふうも感
じられないなら、さらに状況が追い込まれて
いるとヤバそうな雰囲気を醸し出しながら顔
面蒼白な表情で深刻ぶって見せておけばいい
のかも知れないが、実際にはそれらは全て演
技でしかなく、当人たちがそれを演じている
つもりなどなくてもそう見えてしまうのだか
ら、マジでそんな間抜けな振る舞いに至って
いるつもりでも、間抜けなのはそれを観てい
る観衆も間抜けなのであり、しかもそれをど
っちもどっちだと馬鹿にするような第三者的
な立場などあり得ないし、傍観者ヅラなどし
ようものなら、たちまちその場で行われてい
る見え透いた演劇に引き込まれながら、自ら
の振る舞いが間抜けな演技になってしまうの
を受け入れるしかなく、できることなら目を
背けて無視を決め込んでいたいはずだが、す
でにそれについて自らが言及しているのだか
ら、メディアを通じてその間抜けな演劇の内
容が誰の目にも明らかとなっている限りで、
そのつもりがなくても積極的に間抜けな演劇
の中に入り込んでいるようにも受け取られて
しまい、そこで間抜けな傍観者の役割を受け
入れざるを得なくなってしまうから、逃れら
れない運命だと思ってあきらめるしかないわ
けだが、根本的なところで何が間抜けなのか
といえば、誰もが自分が間抜けだと気づかな
いところが間抜けなのではなく、納得が行か
ない結果に至っているのに、それを納得が行
かないように言説化できないところが間抜け
なのかも知れず、逆に納得が行かないのに納
得したように装わないと、その場が丸く収ま
らないから、その場に居合わせた誰もが渋々
苦渋の選択として演技を強いられるのだとし
たら、たとえそれが間抜けに見えてしまって
も構わないような気もしてくるから、間抜け
だろうと何だろうと、さっさととっ散らかっ
た状態を片づけてしまいたいのかも知れず、
もちろんそれで一件落着とは行かないのは誰
もが承知しているつもりで、どうしても納得
が行かなくてもそれで済ませてしまうに越し
たことはないように思われるから、誰もが気
乗りしないモヤモヤした気分でそれぞれの役
割を演じているつもりなのだろうが、それが
どう受け取られるかが、現時点でははっきり
しないだろうから、この先のある時点で、今
までに起こってきたことを振り返るのに絶好
の機会が巡ってくれば、その機会を捉えて性
懲りもなくその場の主導権を握ったふりをし
ながら、もっともらしいことをこれ見よがし
に言い放つ輩もいくらでも登場してくるのだ
ろうが、そんな輩の言っていることを真に受
けるつもりもなければ、今この時点で否応な
く強いられているみっともない演技の方が俄
然リアリティを感じられるはずで、こんな成
り行きの延長上にどんな事態が待ち受けてい
ようと、こんな事態こそがありのままの現状
であることを肝に銘じておく必要などなく、
こんな状況の中で生きている誰もが間抜けな
事態にとらわれていることには変わりないの
だから、しかもそれが馬鹿でも阿呆でもなく
間抜けなことに気づくわけもないのだから、
馬鹿だとか阿呆だとかお互いにお互いを罵っ
ている限りで間抜けなのであり、馬鹿なこと
に気づいていないとか阿呆なことに気づいて
いないとか、それらが共通の意味を担って愚
かなことだとしても、間抜けよりはマシとい
うわけでもなく、間抜けなことに気づかなく
ても構わないどころか、わざと気づいていな
いふりを装うつもりもなくても、やはり誰も
がそれに気づいていない限りで間抜けな状況
なのであり、ではいったい何に気づいていな
いのかといえば、間抜けなことに気づいてい
ないといえばそうではなく、それでは済まな
いような取り返しのつかない深刻な事態に陥
っていることに気づいていないことにでもな
れば納得するのだろうが、それが納得が行か
ない理由にはならないわけだから、その代わ
りに間に合わせの振る舞いとして誰もが間抜
けな演技にうつつを抜かしていると現状を捉
えるなら、何か煙に巻かれたような納得が行
かない心理状態になれるのかも知れないわけ
だ。

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