彼の声 2023.1.13 「低次元な話」 | 彼の声

彼の声 2023.1.13 「低次元な話」

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 低次元というと何か馬鹿にされるような話
の内容となってしまいそうだが、馬鹿にした
いからそれを低次元というのだろうし、そう
いう意味では低次元に違いなく、普通は低次
元な話の内容に関して、それを肯定するよう
なことにはならないわけだが、さらに言うな
ら次元ではなくレベルという表現になると、
あからさまに低レベルな話の内容を馬鹿にし
たい意図が感じられるだろうが、では逆に高
次元であったり高レベルな話の内容になると、
何か頭の良さそうな人が語る難しい話の内容
になるかというと、それだけしか判断材料が
なければそう思うしかないが、もちろんそれ
だけが判断材料になるはずもなく、肝心な話
の内容が未だに何も語られていないのだから、
それだけでは判断のしようがないが、語って
いる主体から低次元な話題へと誘導したい思
惑が疑われると、なるほどそれとは逆の方向
へと話を振られるとまずいのかとその時点で
気づけるほど勘の鋭い人がそうそういるわけ
もないだろうが、それが文字に記されて読む
立場になれば、結構それに気づく人も出てく
るかも知れず、それに関してプレゼン的な内
容を語る人に特有な範囲を絞った狭い特定の
分野へと人々の意識を誘導したい思惑が透け
て見えてくると、それが功利的な思惑だと気
づいてしまうような事態を何の前提もなく想
像できるわけでもなく、それだけで低次元な
話の内容だと馬鹿にするようなことにはなら
ないが、そこから自らの考えや判断を社会全
体にまで広げて、何かハッとするような社会
問題に結びつけてもっともらしいことを物申
す成り行きになると、他の誰かがちょっと待
てと言いたくもなるだろうし、お前個人の事
情を他の大勢の人々が苦しんでいる問題にま
で広げるなと言いたくなるのも、話の内容に
よってはありがちなことなのかも知れず、個
人の自由を確保することが社会全体の問題で
はないとは言い切れないが、個人にそう簡単
に選択の自由を与えてくれるほど社会に無制
限な自由度があるわけでもなく、必ず何かし
らしがらみがまとわりついてきて、個人の行
動や言動や思考に制限をかけて、他の大勢の
人々と歩調を合わせるように仕向けてくると、
息苦しさや生きにくさを覚えるのだが、例え
ば誰かが病気に罹って入院して、それが治癒
の見込みのない末期的な状態で、その際の治
療の過酷さや痛みや費用やそんな境遇に陥っ
てしまった自身の惨めさに耐えかねて病室の
窓から飛び降りて自殺を選んだとしても、そ
んなふうにその場の状況を語ればもっともら
しい自殺理由のように感じられるかも知れな
いが、たとえそんな事例があったとしても、
そうなることを前もって予想できたわけでも
ないだろうし、現実にそんな事態に直面して
もいない人が、人には自らの生死を決める自
由があると言ってみたところで、病状が重篤
になって今にも死にそうな人に自身の生死な
ど自分では決められないだろうから、普段か
らそうなった時に備えて生命維持装置の類い
を外してくれるように医療機関に入院した際
に伝えてくれるように何か手段を講じておく
べきとも言えないし、そうやって絶えず先回
りして先手を打つようなことを言いたい人が
出てくるのも、よくありがちなことかも知れ
ないが、そんな事態を見越して何か言いたい
のは、やはりプレゼンの技術的な要請に応え
ようとする意思の表れかも知れず、予想され
るあらゆる事態を想定して、それに対してい
ちいち妥当な見解を表明できれば、それがプ
レゼンとして最大公約数的な支持や同調を得
られるような期待があるから、そういうこと
を言いたくなるとしても、それも自身にそん
な思惑があるなんて自分で気づいているとも
思えないし、何かをプレゼンするという制度
的な要請にその人が知らないうちに応えるよ
うに仕向けられてそういう成り行きになって
しまうわけで、各々の意思や意図や思惑にど
んな偏差があろうと、人が病院に入院して医
師が病気を治療するという制度が確立されて
から、病気を苦にして病院の窓や屋上から飛
び降り自殺する行動が生じてくる一方で、メ
ディアを利用して何かをプレゼンして不特定
多数の人々の気を引くという制度が確立され
てから、自分の経験をメディアで話題となっ
ている社会問題に絡めて、それをもっともら
しい主張として提示できれば、それを真に受
ける人々も身近なこととして親近感を覚える
わけで、さらにその際に何か死に関連してあ
っと驚くような人目を引くパフォーマンスを
やった著名人というのも、プレゼンの際に格
好の人心を惹きつける挿話として役立つだろ
うし、その格好の事例としてあざとい人が飛
びつくネタとしてよく使われてしまうのが、
日本では三島由紀夫になってしまうのかも知
れず、そういう鉄板ネタを使う人には注意し
ないと、とんでもない勘違いを犯してしまう

かも知れないが、ネタに使った著名人に大し

て心酔しているわけでもないのに、心酔して

いるコアなファンに訴えかけるようなことを

やりたがるから、かえってあざとさが目立っ

てしまうのだろうが、それが逆に普段からそ

んなことには大して関心のなかった人々の関

心を呼び起こして、そこから勘違いな支持や

同調に結びついてしまうと、さらに厄介な事

態となりかねないが、普通はそこまでは事態

が進行することはなく、その種のプレゼン自

体が社会に大して影響力を及ぼすわけでもな

く、何よりもプレゼンしている人の素性の怪

しさを多くの人々が感知していて、その種の

人のこれ見よがしな経歴が詐欺的な内容であ

ることに察しがついている人も結構いるだろ

うから、それを真に受けてしまう人がいると

すれば、その人が浅はかだから真に受けてし

まうと思っておいた方がいいような低次元な

話になってしまうのかも知れない。

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