映画「風立ちぬ」 | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。


やはり、観ないわけにはいかない。


これが宮崎駿監督最後の長編作品だと言われたら・・・・・・・・・・


私は、「千と千尋の神隠し」以後、宮崎作品を観ていなi。


なぜだろう?


「風の谷のナウシカ」以後必ず見続けてきた宮崎駿の世界が「千と千尋・・・・・」で頂点に達し、その圧倒的な想像力とクリエイティブ力にひれ伏してしまったからかもしれない。


そんな気持ちになるほど「千と千尋・・・・・・」は素晴らしかった!


興行成績も304億円と断トツの歴代1位になったし、海外の映画賞での受賞も数多くあったし、きっと宮崎監督自身も「やり尽くした」感があったのではないだろうか。


それでも、その後「ハウルの動く城」(2004年)、「崖の上のポニョ」(2008年)と意欲作を連発してきた。


でも、私はその2作品を観ていない。


事実、2作品とも充分ヒットしたが、興行的には「千と千尋・・・・・・」には及ばなかった。(最後参照)


これは宮崎監督自身も述べていたことだが、アニメーション映画の原点は「ファンタジー」であると。


21世紀に入ってから地球の環境汚染問題や、中東を軸にしながら世界的に広がりつつある破滅的な戦争など、世の中が確実におかしな方向に進んでいる。


それも、かなりのスピードで。


一方で、インターネットの急速な普及により、人間関係もどこか殺伐としてきた。


こんな時代にファンタジーがどこまで人の心に浸み込んでいくのか。


私自身、心のどこかに宮崎駿の世界は、もはや絵空事にしか過ぎないのではないか、という感情が湧き起ってきたのかもしれない。


現実とのギャップ。


それは、明らかに時代のせいだと思う。


一方、ピクサーが製作する一連のアニメーションは、時代の先端であるCGを駆使しながら、この殺伐とした世界で一時代を築いている。


それは、汚れのない子供の純真無垢な世界を徹底的に追求し、身の回りにあるオモチャや車や熱帯魚を主役に据え、最先端の技術を駆使しながら、徹底したエンタテインメント精神で、今という時代に切り込んできた。


だから、ピクサーが描く世界は最新のテクノロジーなしに語ることはできない。


でも、宮崎駿の世界は、あくまでもアナログだ


懐かしさや優しさを思い出す心の世界を描いている。


それでもニモに触発されたのか宮崎駿もポニョを製作した。


きっと、ギリギリだったのだろう。


事実、「ポニョ」から今回の「風立ちぬ」まで5年の歳月を要している。


で、「風立ちぬ」だ。


物語については多くの人に知れわたっているのでここでは省略するが、宮崎駿が幼い頃から好きだった航空機の世界を背景に「純愛」と「生死」と「平和」と「戦争」を描いた。


素直に感動したし、淡々と進む物語と同時に、宮崎駿ならではのファンタジーの世界も堪能した。


もう、これで充分だと思った。


監督、お疲れ様でした。


宮崎駿自身が引退の記者会見で語った言葉だが、


「この世は生きるに値するものだ」という監督の意志は、「風立ちぬ」で充分感じることができた。


一方で、この作品を最後に引退するということは、今の世は生きるに値しない世界になりつつあるという宮崎駿からのメッセージかもしれない。


そして、何よりも観終えて心に残るのは、荒井由実が歌う「ひこうき雲」だ。


まるで、この作品のために」書き下ろされたかのようにピッタリと心に響いた。


■宮崎駿作品の興行成績


1984年 : 風の谷のナウシカ(15億円)


1986年 : 天空の城ラピュタ(12億円)


1988年 : となりのトトロ(12億円)


1989年 : 魔女の宅急便(37億円)


1992年 : 紅の豚(48億円)


1997年 : もののけ姫(192億円)


2001年 : 千と千尋の神隠し(304億円)


2004年 : ハウルの動く城(196億円)


2008年 : 崖の上のポニョ(155億円)


2013年 : 風立ちぬ(・・・億円)




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