映画「くちづけ」 | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

辛いテーマの作品でした。


知的障害の子供を持つ親の苦しみが痛いほど伝わってくる・・・・・・劇場を出た後、何とも言えない苦しみに見舞われました。


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障害を持つ娘役が貫地谷しほりさん、その父親役が竹中直人さん。


二人とも熱演でした。


知的障害者が集団で暮らすグループホーム「ひまわり荘」を舞台にした物語ですが、映画の大半はこのひまわり荘のリビングで展開されるのです。


だからか、まるで演劇を観ているような感覚です。


それもそのはず、この「くちづけ」って元々舞台で上演されたのです。


宅間孝行さん率いる演劇集団「東京セレソンデラックス」が2010年に上演したのが最初です。


で、原作を書いて、舞台の演出もした宅間さんが映画化にあたって脚本を書き、主演の一人「う~やん」を映画の中で演じたのです。


とても個性的な「う~やん」を演じた宅間さんって本当にすごい!


ホント、すごい役者です!


知的障害をも持つ子供は、親や肉親の介助なしに生きていくことはできない。


その親だって元気なうちはまだいいが、身体が弱ったり、病気になったり、ましてや死が目前に迫ったらどうだろう。


障害を持つ子供を残し、先に死んでいく親の気持ち・・・・・・・・・竹中直人さんが全力で演じきりました。


そして、それに応えるべく難しい役に挑戦した貫地谷さんも素晴らしかったです。


素晴らしい内容の作品なのですが、映画の前半は大声で叫ぶシーンが多く、正直ストレスが溜まりました。


障害者を演じるって、一歩間違えるとわざとらしく見えてしまう。


そのギリギリの境目のところで演じるわけですから、役者ににとっては難しいでしょうね。


でも、いくつかのシーンが後半の泣き所の伏線になっていることに気づき始めてから、物語にどんどん引き込まれていきます。


「う~やん」の演技がまさにそれでした。


ところで、この作品のエンディングテーマ曲。


何とアン・ルイスが歌ってヒットした「グッド・マイ・ラブ」のカバーではありませんか。


歌っているのは気仙沼出身の熊谷育美さん。


こちらも印象的でした。


私も東日本大震災から1年後、気仙沼で開かれた復興支援イベントで堤監督と熊谷育美さんにお会いしたことがあります。


だからか、熊谷さんが所属するレコード会社(私の古巣です)も製作委員会に名を連ねています。


そして、熊谷さんのプロデューサーであるSさんもそのレコード会社に勤務していました。


人と人との繋がりって長い時間をかけて熟していくものだな~と思います。


「くちづけ」のような真面目に死と向き合った作品に出会うと、ついつい自分の終活について考えてしまうことがあります。


徐々にですが、体力や思考の劣れを実感し、引き算の人生にならざるを得ない年齢になったからでしょうか。


仕事も人生も引き際が大事だと思う今日この頃です。