映画「愛さえあれば」 | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

良い映画を観ました!


大人でなければ分からない、いや、幾多の苦しみや哀しみに耐えてきた大人だからこそ深く理解できる作品だと思いました。


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原題はデンマーク語なのでよく分かりませんが、英語で「Love Is All You Need」とありました。


ビートルズは「All You Need Is Love」と歌いましたが、微妙にニュアンスが異なるのでしょうね。


人生とは? 


家族とは?


親子とは?


夫婦とは?


そんな問いかけを受け止めながら味わう良質な大人のラブストーリーです。


何よりもピアース・ブロスナンがいい!


妻を事故で亡くした哀しみを忘れるかのように仕事に没頭し、そのために息子と良好な関係を築けない父親役のブロスナンが、乳がんの治療をしている間に夫に浮気された同世代の女性美容師と恋に堕ちる役を完璧に演じています。


ホント、完璧です。


この作品、ピアーズ・ブロスナンなくして成立しなかったのではないでしょうか。


監督がデンマーク出身のスサンネ・ビアですから、物語の始まりはもちろんコペンハーゲンです。


が、物語の中心はソレント(ナポリ県)。


抜けるような青空と紺碧の海がまぶしいナポリで若い1組のカップルの結婚式を舞台に大人のラブ・ストーリーが、ゆっくりと展開していくのです。


ソレントの空が青ければ青いほど愛の苦しみは深まり、ソレントの海が明るい輝きを放てば放つほど愛の葛藤が大きくなっていくように感じられます。


この「青」と「哀しみ」のコントラストが実に素晴らしい!


今年のアカデミー外国映画賞を受賞したスサンネ・ビア監督の「未来を生きる君たちへ」は見逃してしまいましたが、私、彼女の作品が好きで結構観ています。


「しあわせな孤独」、「ある愛の風景」、「アフター・ウエディング」。


どの作品にも共通するのは屈折した「愛の葛藤」や「愛の哀しみ」です、


観ていて心が苦しくなるような作品が多かったと思いますが、本作はユーモアもあり、スサンネ・ビア作品としては、エンタテインメント性もあるので、わりと気楽に鑑賞することができました。


それでも大人の愛は複雑で、切なく、じれったい。

だから観ていて気持ちが入っていくのだと思います。


最近、こういう作品に出会うことが少ないので、大いに満足して劇場を後にしました。