ミヒャエル・ハネケ監督の「白いリボン」 | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

2009年、カンヌでパルムドールを受賞した作品です


今日は14時から下井草の「スタジオエルミタージュ」で行われた二期会オペレッタ座主宰によるクリスマスコンサートに行って来た。


いつもながらサービス精神に溢れたオペレッタ座員の「おもてなし」には聴衆の一人というより、チケットを購入した我々もメンバーのような親近感をおぼえます。


一人6,000円のチケットが高いかのか安いのかは分りませんが、メンバー手作りによるドイツ料理にワイン、ケーキが付き、もちろんオペレッタの名曲を目の前で聴くことができ、黒田晋也代表による「オペレッタの歴史」も聴講できるというオマケまであったり、これはもう・・・・・・・お得としか言えませんよねニコニコ


最後にメンバーの人たちと合唱した「きよしこの夜」。


久しぶりに歌ったこの曲・・・・・・・・・・・良い曲、良い歌詞だなあと思った。


さて、このところB級作品ばかり観ていた私ですが、今回は「考える映画」を紹介します。


ドイツの監督ミヒャエル・ハネケの最新作「白いリボン」 です。


ソフィアの森の映画と音楽&広告、マーケティング


京橋にあるテアトル銀座に何度か足を運んだが、いつも満席。


ヒットしています。


業界紙の記事から抜粋すると・・・・・


初日朝から20代~40代の若い観客層を中心に、シニア、夫婦50割引、カップルら幅広い層が時間帯を問わず続々来場。事前インターネット予約枠完売、窓口での先売り指定席権の好調も相まって、上映1時間~30分前に各回のチケットが売り切れ、雪崩式に次回以降の全回が埋まる結果となった。パンフレットの売れ行きも5人に1人と好調。


この後、全国の劇場にて拡大公開されます。


こういうマジメな芸術作品がヒットするのは素直に嬉しい。


さて作品だが・・・・・


映画の冒頭、次うのようなナレーションが流れる。


「これから話すことがすべて真実か、あまり自信はない。それでも、あの奇妙な出来事を誰かに話しておくべきだと私は思う。あの出来事こそが恐らく、当時の我国そのものなのだ」


当時の我国とは、1913年のドイツ。


1913年はヒトラーがオーストリアからドイツへ移った年であり、「自由ドイツ青年団」の運動が発祥した年である。


この時代背景を理解することが、この作品を理解することにつながる。


何故、当時のドイツは戦争に突き進んでいったのか?


そして物語を理解するもうひとつのキーワードがキリスト教。それもプロテスタントだ。


大地主と厳格な規律を村人に押し付けるプロテスタントの牧師が中心にいるのが当時のドイツの一般的な村の構図だ。


厳格な規律に従い、地主と牧師に対し極めて従順に見える村人の心の奥底に潜む怒り、嫉妬、裏切りの心。


これらが白黒の映像に託される。


モノクロだからこそ、村人の心の内や叫びが胸に深く届くのだ。


この映像が素晴らしい!


カラーフィルムをモノクロに転換しただけに、実に奥が深い色になっている。


この映像の美しさを堪能するだけでもこの映画を観る価値はあると思う。


プログラムから抜粋する。


犯人は誰か?決して姿を見せない犯人探しにやっきになり、不安がつのる。謎は解けない。ミヒャエル・ハネケの映画、そのサスペンスの構造だ。想像力を駆使して、ふと気づき、愕然とする。(中略)「私」、つまり、すべての人間の心に潜む普遍的な闇、誰もが持っている本性、秘密、影の部分にぶつかる。主題は、まずここにあり、サスペンスの領域をはるかに越えていってしまう」


それでも、本作品は一級のサスペンス映画としても楽しめる。


タイトル「白いリボン」の意味は。


そして映画の最後に唐突に登場する村の名前Eichwald(アイヒヴァルト)。


これは「アイヒマン」と「ブーヘンヴェルト」を組み合わせた名前ではないか?とも言われている。


これらの監督の意思は・・・・・・・・・・・・・・・・・・映画を観ることで全てが分ると思う。


いい作品だ。