「怒る企画術!(吉田正樹・著)」を読みました | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

私が「怒る企画術!」を読んだ理由


私がこの本を読んだ理由は書評でもないし、誰かに薦められたわけでもありません。


ビジネス書としては近年希に見る着眼点の素晴らしさで、どんなに絶賛しても絶賛し尽くせない名著(?)「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの“マネジメント”を読んだら」の作者、岩崎夏海さんが、「怒る企画術!」の著者である吉田正樹さん(正確には株式会社吉田正樹事務所)のマネージャーだったからです。


もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら/岩崎 夏海
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今や時の人になった岩崎夏海さんがマネージャーをやるくらいの人が書いた本ならばきっと面白いに違いないと思ったからです。


岩崎夏海さんは東京藝術大学美術学部建築学科を卒業した人で、学生時代から秋元康さんの仕事に憧れ、彼に弟子入りし、彼の下で放送作家としてこの業界に入ったという変り種です。


いわゆる秋元オタクだったそうです。


その縁で、最近ではAKB48のプロデューサーの一人として名を連ねています。


放送作家だったのですから、元フジテレビのプロデューサーだった吉田正樹さんと知り合っても不思議ではありません。


そういえば、吉田正樹さんも東京大学法学部の卒業です。


フ~ン、


東大と東京芸大の国立コンビですか・・・・・・・・・・


意外かもしれませんが、フジテレビって東大卒の人が多いんです。


私が知っているだけでも5人はいます。


ちなみに当社の社長も、副社長も、専務も東大卒です。(関係ないか・・・・)


話は戻りますが岩崎さんの個人ブログ「ハックルベリーに会いに行く」 は私の大好きなブログのひとつです。


「AKB48がヒットした本当の理由」なんて記事も書いていますから、なかなかですよ。


最近は岩崎さんも忙しいらしくブログの更新頻度が落ちているようですが・・・・・・・・・・・


そんな縁で「怒る企画術!」を読みました。


怒る企画術! (ベスト新書 265)/吉田 正樹
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1日あれば、いや半日で読める軽い本です。


吉田さんのフジテレビ時代の仕事をベースに「企画とは?」、「アイデアとは?」を問いかけ、それを実際のヒット番組に仕上げていく方法論について書いた、いわゆる著者の体験本です。


吉田さんのフジテレビでの主な仕事は「笑う犬の生活」、「トリビアの泉」、「爆笑レッドカーペット」、「アイドリング」などです。


正直、今の私にとってそんなに興味ある内容ではなかったのですが、エンタテインメント業界で働く若い人やこれからテレビ局で働きたいと思っている人にとっては役に立つ本だと思います。


それでも、私自身が共鳴した部分がこの本にはありました。


いわゆる吉田流プロデューサー論です。


そこを紹介したいと思います。


■プロデューサーとは、遠くからでもよく見える旗を立てることだ


つまり最初のオーダーを明確にするということです。アパレルなどのブランドを立ち上げる時も、この旗を立てるという表現がよく使われますが、要は何をしたいのか?を明確にするということです。


■自分より優れた面を持つ人を集めることができれば、素晴らしい仕事ができる


何でも自分でやるのではなく、みんなの力を借りるという発想です。今流の表現で言えばアライアンスの上手い人ということです。これは管理職として、とても大切なことです。社内でも、社外でも顔がない、売れていない人ではできません。例えば一日中PCの前に座っている管理職とかがいますが・・・・・・・・・・これではダメです。


■チーム内に何でも言いやすい雰囲気をつくり、みんなで同じ旗に向かうモチベーションを持つ


企画会議でいきなり「面白いことを言え」と言われてもそれは無理です。普段から面白いことを考えるような雰囲気にしておくことが大事なのです。部下が上司に言いたいことを言わせる雰囲気作りは上司の責任ですから。でも、うちの会社にもいます。権威でモノを言う人が。


■下の者からムードメーカーにさせる


上から目線ではいけません。自由にモノを言わせ、それが面白ければ徹底的に面白がるということです。「おっ、OOクン、それいいね~」とおだてることです。


■ブレストはゆる~くやれ


「これは何だか気になる」とか「最近これが気になる」ということを大切にしろと言ってます。私の上司に「ワイガヤ」ミーティングを大切にしろという人がいますが、これも同じことです。私の部下に普段は気難しい顔をして仕事をしているのですが、一旦酒が入ると元気になって面白いことを言う人気者がいます。こういう人は憎めないですね~。


■オススメを大切にする


「自分はこの映画で感動した」とか「この音楽が好きだ」というように自己開示するのは、自分を分ってほしいという自己アピールなのだから真摯に受け止めろということです。「OOさん、NHKでやっていた“ちりとてちん”が日曜深夜枠で再放送します。これ、泣けますからぜひ見てください」とメールをくれた部下がいます。みちろんHDに録画しています。


■ガオガオ、ベロベロと付き合う


面白い表現です。これを分りやすく言うと、飲み屋に行っていいことを言おうと思うな。飲み屋ではとにかく自分の失敗談やバカ話をしろと言ってます。これは私に共通するパターンで大いに共感をおぼえたところです。私も結構バカなことを積み重ねたきましたからネタは尽きません。


■何を残して何を削るか


吉田さんは、チームで仕事を続けてきて、それなりの成果を出した優秀なスタッフほど別のチームに出し、ダメなスタッフは敢えて残すそうです。どちらも未来に賭けるということのようです。愛がありますね。


この本を組織論、マネージャー論として捉えるとこんな見方もできるのです。


吉田さんは昨年長年勤めたフジテレビを退社し、現在は渡辺エンタテインメントの代表取締役会長です。


だって奥様が渡辺プロ創設者の娘だから?


まあ、それもあるでしょうが、コンテンツの前にメディアがひれ伏す時が来たいま、コンテンツが世の中に受け入れられるのに必ずしもテレビが一番だと感じなくなったのがフジテレビ退社の理由だそうです。