思い出の曲
4年前から始めたマンドリン・アンサンブルによるコンサート活動。
今や40人を超える編成になったので、アンサンブルというよりオーケストラに近いボリュームです。
最初の年、アンコールに選んだ曲が「あの素晴らしい愛をもう一度」でした。
自分で編曲したせいか、思い出が詰まった曲のひとつになりました。
翌年のアンコール曲が「ひょっこりひょうたん島」。
そして昨年は「戦争を知らない子供たち」だったのですが、「あの素晴らしい愛をもう一度」を作曲した加藤和彦氏が亡くなったため、追悼の意味を込めて「あの・・・・・・・・」を再演しました。
最後に会場が一体となって「あの~すば~らしい~あ~いを~も~いち~ど」と唱和してくれた時には感動して、胸が震えたほどです。
そして、今年のアンコール曲が「戦争を知らない子供たち」になる予定です。
この2曲は我々の世代にとって共通の思いが甦る代表曲と言えます。
いずれの曲もフォーク・クルセダーズ のメンバーが関わっているところが興味深いのですが・・・・・・・
「戦争を知らない子供たち」はフォーク・クルセダーズで加藤和彦とコンビを組んでいた北山修氏が詩を書き、杉田二郎氏が曲をつけ、1970年8月23日の大阪万博ホールで初めて披露されました。
その時の模様を今は精神科医になった北山修氏が4月1日付の日経夕刊に寄稿していたので、紹介したいと思います。
その前に私が好きな2番の歌詞を紹介します。
若すぎるからと 許されないなら
髪の毛が長いと 許されないなら
今の私に 残っているのは
涙をこらえて 歌うことだけさ
僕等の名前を 覚えてほしい
戦争を知らない 子供たちさ
いま読むと青臭くて、チョッピリ恥ずかしい。
でも、当時の若者の気持ちをストレートに代弁している歌だと思います。
当時、私も耳が隠れるくらいのロングヘアーでしたが、髪が長いだけで、エレキギターを弾いているだけで、不良呼ばわりされていた時代です。(信じられないでしょうが)
この歌が作られた1970年は大阪万国博覧会が象徴するように、日本が高度成長のレールに乗り一気に走り始めた時であり、外では米国がベトナム戦争の泥沼に沈み込み、米国の戦争に基地を貸すという行為で加担していた日本の在り方が問われ始めている時でした。
日米安保条約が10年目の更改を迎え、激動の時代が始まる予兆を感じている国民がいると同時に、高度成長の波に乗り、終わりの来ない繁栄を信じ続けることが可能な時代でした。
私はそんな時代に大学に入学しました。
あっという間の4年間でした。
4年になり、仲間が一流会社に次々と就職が決まる中、夏休みになっても就職先が見つからない。
広告会社か音楽関係の仕事に就きたいという漠然とした思いしかありませんでしたが、勢いのある時代でしたから何かとなるだろうと楽観していました。
「どうにかなる」・・・・・・・・・・・・・・・・・・実際「どうにかなりました」(笑)
当時戦争を知らない子供たちと呼ばれた仲間の多くが、今や早期退職で会社を去ったり、早死にしたり、起業したり、両親の介護をしたり、様々な人生を歩んでいます。
北山修氏の詩を読み返していて、少しだけれどセンチメンタルな気分になりました。
以下は日経の記事からの引用です。
「戦争を知らない」と歌いあげたから、随分言われた。「戦争を体験しなくとも想像できるはず。イマジネーションの貧困」、「沖縄に米軍基地を抱えながら、こんな歌が許されるのか」
私たちの世代にとって、戦争といえば第二次世界大戦だった。原子爆弾が投下され、終戦を迎えた直後に、生まれや者の悲しみ、おののきを包含して、「戦争を知らない子供たち」と言った。惨禍を巻き起こした加害者の国の人間という意識もあった。私としては、素直に自分の気持ちを文字にしたというほかない。
「おまえらは戦争を知らないくせに、偉そうなことを言うな」という大人たちに対して、「ああ知らないけど、黙らないよ」という気持ちもあった。若いフォークシンガーというものは、若い人の側に立つもの。若い人たちは持っているものが少ない分、世の中に意義を申し立てる立場にいる。
この歌を披露して40年たったが、何かの折にテレビなどで取り上げられる。私は万国博ホールでの催しで告げた願いを、変わらぬまま持ち続けている。それは「世の中の人たちが、この歌と同じタイトルの音楽会を開くことができれば、すごく幸せだと思います」。
「若い時のひらめきには概して間違いない。ひらめくことがあったら、それを深く、深く、徹底的に掘り下げて考えてみろ。そしてひとつの結論に達したら、影響力の及ぶ範囲でいいから執拗に主張する勇気を持つこと・・・・私にはこの勇気がなかった」(岡新海軍司令長官)
若すぎるからと許されないことなどないのです。
「勇気」と「情熱」こそ、若さの証しだと信じています。
この1週間、少しブルーな状態です。
会社内のことですが、今まで経験したことのない出来事に出会い、悩み、複雑な気持ちになってしまったのです。
イカン、イカン、弱気になっては・・・・・・・と自らを鼓舞してはいますが、今の時代、企業存続のためには大きな痛みや変革が必要なのですから仕方がないのでしょう。
所詮企業内の問題ですから、時間が解決してくれると思っています。
話は飛びますが、日経の文化面の記事は今回の北山修氏だけでなく興味ある記事が多いと思いませんか。
宅配でとり始めてから、同居している義母が毎日日経の文化欄を読むのを楽しみにしているのです。
日本経済新聞のWEB版で「MY ページ」登録をしていますが、ようやく使い勝手の良さが分かってきました。
日経ってホントいい新聞ですね。
- memorial single~あの素晴しい愛をもう一度~/加藤和彦
- ¥1,000
- Amazon.co.jp
- 戦争を知らない子供たち-万国博ホールにおけるコンサート実況盤-(紙ジャケット仕様)/オムニバス
- ¥2,000
- Amazon.co.jp