売上減少に歯止めがきかない広告業界の未来
電通の2月の売上が発表されました。
対前年比79.2%の972億17百万円。
何と255億円のマイナスです。
媒体別に見てみましょう。(落ち込み幅の大きい順です)
OOH(屋外広告)・・・57.5%
新聞・・・・・・・・・・・・・・63.3%
雑誌・・・・・・・・・・・・・・75.1%
テレビ・・・・・・・・・・・・・83.1%
インタラクティブ・・・・・・91.3%
ラジオ・・・・・・・・・・・・・96.4%
新聞、雑誌の活字メディアの落ち込みは分るものの、屋外広告がこれ程落ち込んでいるとは・・・・・・驚きました。
テレビも厳しいですね。
いま、まさに4月以降の改編時期にあるのですが、キー局の大半が番組スポンサーが埋まらずに苦労しています。安売り合戦も始まっています。
私の管轄するインタラクティブ部門でさえ8.7%のマイナスです。
売上がこれだけ厳しいと、元々利益率が決まっている広告ビジネスですから、電通のようにマス媒体を大量に買い切っている大手はさらに利幅が下がってきます。いわゆる買い切りによる売り損じです。
私の会社も厳しいことは厳しいのですが、大手とは異なりナショナルスポンサーの大きな落ち込みがあるわけではなく、エンタテインメントビジネスへの投資などもあり、それなりに健闘しているほうだと思います。
問題は、独自の商品やインフラを持たない広告会社最大の財産である「人財」の確保にあります。
有力なスポンサーを持っている人財の取り合いになります。
特に実力のある中途入社社員に注目が集まります。
私の会社でも有能な中堅社員の引抜が多発する可能性があります。
彼らが意欲を持って働くことができる環境をどのように作るか?
苦しくて我慢するだけではなく、会社の未来図をどのように社員に伝えるか?
広告会社・経営者の力量が厳しく問われる時代だといえそうです。
ただ、いつも思うのですが「広告会社は何でもあり」というビジネスモデルですから、そこに人がいて、企業があって、モノが流通していれば売上のチャンスは常に存在します。
だから新しいコトに挑戦する人間が重要です。
私は常日頃、部下に対して「思いつきを大切に」するよう指示しています。
「思いつき」をビジネスにする習慣をつけさせようということです。
ここからスタートすれば「イノベーション」だとか「自己変革」などという理屈っぽい言葉を使わなくても、自然と仕事の中身が変わってきます。
大事なことは、部下の「思いつき」を否定せず、きちんと耳を傾ける上司の存在です。
今年、部下のKクンが自分のアンテナで見つけ出したフラッシュアニメを会社で評価し、製作委員会を組成して様々なビジネス展開を仕掛けていきます。
これも「思いつき」から生まれたものです。
「不況というのは真剣に考えることができるチャンスを神様に与えられた時間」と思えば楽しさもあります。
我慢、我慢を強いるだけでは人間は萎縮してしまいます。
不景気だからといって、心の不景気にだけはなりたくないと思います。