母の入院と推理小説
今年85歳の母が、疲労からか、老衰か、はたまた無謀な歩き方が原因なのか分らないが、大腿骨を骨折して入院。本日手術を行いました。
大腿骨の骨折した部分を人口骨に変えるのですが、何せ高齢なだけに医師や看護婦がやたら親切です。
最初は感謝していたのですが、ようく考えれば手術中に心臓発作を起こしたり、合併症を起こしたりしないかを心配しているのだということがあとで分りました。
要は責任回避です。
それにしても85歳の今日まで入院したことはおろか、自分の身体にメスを入れるのも初めて、だから麻酔も初めての母です。
医師からの説明を聞くたびに母の顔が青ざめていきます。
「麻酔注射の針は太いのか、細いのか」、「どのくらいまで刺すのか」・・・・・・・・
「風のガーデン」の中井貴一さんみたいな麻酔科の先生が局部麻酔と全身麻酔の違いを説明していても、母の関心事は麻酔注射の針の太さだったようです。
心臓が丈夫な母は局部麻酔を選択しました。(説明を聞き終えた母の顔は完全にひきつっていました)
そんなわけで、朝から病室に同席し、手術が終わるまでの約8時間、先生の説明を聞いたり、様々な書類・・・・・その殆どが同意書でした。
「一般病室の空き室がなく、個室に入らざるを得なかったことの同意書」
「麻酔の同意書」
「輸血の同意書」
「手術の同意書」
「入院規則の同意書」
「入院費支払いの同意書」
入院すると、こんなに同意書が必要なんですね。
その合間に一冊の推理小説を読み終えました。
週刊文春’08年ミステリーベスト10、堂々の第1位に輝いた「告白/湊かなえ」(双葉社)です。
今年36歳の湊さんは本作がデビュー作です。
昨年の8月に発売されて、既に16刷。売れています。
復讐をテーマにした恐ろしい推理小説です。
舞台は公立の中学校。
クラス担任である女性教師の娘が校内のプールで溺死体で発見されます。
彼女を殺害したのはクラスの男子生徒2名。
でも警察の発表は事故による溺死です。
第1章の「聖職者」で、先生は2人の男子生徒を全員の前で殺人者として名指しし、世にも恐ろしい復讐を宣言したのです。
この後、語り手が次々に変わりながら物語りは進み、やがて恐ろしい狂気の世界の全貌が明らかになっていきます。
そして、最後の予想もつかない結末。
少し結論を急ぎ過ぎたかなあ、と思いながらもぐいぐい引き込まれていきます。
聖職者に続く各章のタイトルは「殉教者」、「慈愛者」、「求道者」、「信奉者」、」伝道者」。
興味を持たれた方は是非ご一読を。最後の結末をどう捉えるのか?で評価が分かれるかもしれません。
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