ドラマ「ありふれた奇跡」を観て | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

山田太一さん書き下ろしのTVドラマが始まりました


フジテレビ開局50周年記念ドラマ「ありふれた奇跡」が1月8日からスタートしました。


前作である倉本聡さんの「風のガーデン」が好評だっただけに、山田太一さんが12年ぶりに書き下ろしたこの連続ドラマにも注目が集まっています。


初回視聴率は関東地区で12.5%。まずまずのスタートでした。


このドラマを観て真っ先に感じたことは、人には時代と共に


「変わる人」

「変わらない人」

「変わることができない人」


の3つがあるということでした。


そういう意味で、倉本聡さんは「変わらない人」であり、山田太一さんは「変わることができない人」ではないだろうか?と思いました。


「ありふれた奇跡」を観て、懐かしく感じたのは山田太一さんの書く台詞が昔のままだったことです。


たとえば、


「・・・です。・・・ます。」「いいんだけど・・・」「・・・だと思った」等の台詞に加え、「はい」「だから」など短いフレーズで相手の会話に受け答えする進め方・・・・・・・・・・・12年前の「ふぞろいの林檎たち」と同じだと思いました。


いま聴くと不自然かもしれません。


今の人たち、特に若い人たちにとっては違和感があるかもしれません。


でも、山田太一さんは「変わることができない人」なのです。


「変わらなくてもいい」。


人の心や気持ちには「変わる必要がない」ことがたくさんあります。


山田太一さんは、そんなことをこのドラマで伝えようとしているのかもしれない。そう思いました。


私がレコード会社に勤務していた頃、山田太一さんのドラマ「悲しくてやりきれない」の主題歌で担当アーティスト(おおたか静流)の曲を使ってもらったことがありました。名取祐子さんや役所広司さんが出演していた月曜ドラマスペシャルで、演出が高橋一郎さんという方だったと記憶しています。


山田太一さんが「おおたか静流」さんを気に入ってくれたことがきっかけですが、TBSでの試写室で初めて挨拶したときの山田太一さんの優しい笑顔が記憶に残っています。それ以降、山田太一さんとは年賀状の交換を数年間続けていましたが、その年賀状は私の宝物になっています。


この12年間テレビの連続ドラマを書かなかった理由を山田太一さんは次のように語っています。


「一人の作家が、どの時代にも適応していくのは、むしろみっともないことのように思えたんです」


やはり、山田太一さんは「変わることができない人」なんですね。


初回の放送で私の心に響いた台詞がありました。


「本当の不幸は心に届くまで時間がかかる」


「私はひとりじゃない。誰にも見えていないわけじゃない」


この台詞は、きっと次回以降、このドラマのテーマになるのではないでしょうか。


「私たちの社会は、人間の力でなんとかなるって思いが強い。みなが同じスタートラインに立って、同じように競うのが人生というのは間違い。容貌も親も才能もみな違う。人間が自分でやれることはわずかで、多くはラッキー。みんなありふれた奇跡に囲まれ、ありふれた奇跡と生きている」(山田太一)


また楽しみな大人のドラマがスタートしました。


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