尾崎豊の歌を聴くと、いつも理想を追い求めることに年齢は関係ないと思ってしまう
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何歳になっても、恥ずかしげもなく歌える詩がある。
それは、大抵の場合、自分の追い求める理想と現実とのギャップに悩んだとき、まるで自分を鼓舞するかのように歌われることが多い。
私の場合、尾崎豊の「15の夜」&「卒業」と佐野元春の「SOMEDAY」がそうだ。
「この支配からの卒業」(尾崎豊)も、「自分の存在が何なのかさえ解らず震えていた15の夜」(尾崎豊)も、「この胸にSOMEDAY、信じる心いつまでも」(佐野元春)も・・・・・・・・・・・・
特に15の夜は、時々の自分の年齢をあてはめ、時には「40の夜」になったり、「50の夜」になったりしている。
昨日NHKで放送された尾崎豊の特集番組「プレミアム10」の中で、脳評論家の茂木健一郎も私と同じようなことを言っていた。
昨日の番組は、1985年8月25日に大阪球場で行われた尾崎豊初の球場ライブ中心の編成で、当日集まった若者は3万人弱。
尾崎はこの年の1月21日に4枚目のシングル「卒業」がオリコンチャートの1位を獲得。
3月に発売されたアルバム「回帰線」も初登場1位となり、絶頂期を迎えていたときに行われた野外ライブである。
まさに19歳、最後の夏であった。
翌年1月1日、福岡で行われたコンサート会場で、尾崎は突如、無期限の活動休止宣言をしてしまう。
この間に何があったのだろうか・・・・・・・・。
間違いなく言える事実は、尾崎が前年の11月29日に20歳になったということである。
20歳は大人・・・・・・・・・・・・・・・・・・
だとしたら、聡明な尾崎にとって20歳を超えたいま、「15の夜」を歌い続けることへの苦しみがあったとしてもおかしくはない。
翌1987年の12月に尾崎は覚せい剤取締法違反で逮捕されてしまう。
理想を追い求め、学校や社会の不条理を歌う「10代のカリスマ」は20歳になった途端、これまでの生き方に自ら終止符を打とうとしたのだろうか。
実際、尾崎の詩で名曲と言われているものの大半は、10代のときに作られている。
最近の若者に尾崎豊や佐野元春の詩を聴かせても、何も反応しないそうだ。
そんな若者に教えるかのように、私はいつもカラオケでSOMEDAYや卒業を熱唱する。
1989年7月に生まれた尾崎の長男、尾崎浩哉が2004年に発売された尾崎のトリビュートアルバムで「15の夜」を歌ったのですが、どんな気持ちでオヤジの詩を歌ったのだろう。その彼も今や18歳。
尾崎豊が生きていれば今年42歳になる。
老いたジェームス・ディーンを見たくないように、尾崎豊もまた、老いた姿をファンの前にさらけ出したくなかったのだろうか。
詩に元気づけられる。
詩に勇気づけられる。
いまの若者たちは、誰の詩に元気づけられ、また勇気づけられているのだろうか。
そして、その詩は、これからの世代に歌い継がれていくのだろうか・・・・・・・・・。
いくつになっても「SOMEDAY」や「15の夜」を熱唱することができる大人でい続けたいと思う今日この頃です。
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