なぜピースビルダーズは南相馬市を支援しているのか(1/3) | ブログ版PB通信

なぜピースビルダーズは南相馬市を支援しているのか(1/3)

あの日から、ちょうど2カ月がたちました。

そして、ピースビルダーズが南相馬市の方々を支援し始めてからも、2ヶ月近くがたちます。
ブログでも折にふれて様子を伝えているせいか、最近では活動についてご意見をいただくようになりました。
多くの方々は、必ずしも支援が行き届かない傾向があった南相馬市にピースビルダーズが注目し続けていることに、応援のメッセージを送ってくれました。
しかし中には、原発から30キロ圏内に中心部を持つ南相馬市への支援について、疑問を呈する方々もおられます。これも、当然の反応でしょう。

理論を前面に押し出して被災者支援を行うのは、われわれの本意ではありません。
しかしそれは、われわれが何も考えないで行動しているということを意味しません。
南相馬の問題は、現在の日本の危機を象徴的に示している問題でもあると思いますので、
あえて、このブログでは、われわれの考え方を示しておきたいと思います。

文章が長くなりますので、3回程(予定)にわけて、お送りします。


1.原発30キロ圏内とは何か?
南相馬市では、南部の小高地区にあたる地域が、原発20キロ圏内であるという理由で「警戒地域」に指定されてしまいました。
ピースビルダーズ要員は、かつては20キロ圏内にも入っていましたが、政府の方針に真っ向から挑戦するつもりはなく、現在は「警戒地域」には入っていません。
そこで問題になるのが、「原発から30キロ圏内」にあたる南相馬市の中心部の原町地区、そして30キロ圏外にあたる鹿島地区の地域についての考え方です。
これについてまず考えなければいけないのは、生き物でも何でもない放射線が、日本政府の方針にそって、20キロラインや30キロラインで、レベルを変えたりしているわけではない、ということです。
「20キロ」「30キロ」という言葉が一人歩きをしていること自体が、「風評」のようなものです。
考えてみてください。原発施設内ですら、具体的な個々のポイントの放射線量は異なっているという考え方にもとづいて、作業が進められています。
それなのに、放射線が正確な同心円を描いて広がるなどという理論だけを信じるわけにはいかないでしょう。
実態にかかわらず編み出された仮説を、「30キロの同心円の仮設」とでも呼んでおきましょう。
福島第一原発からの距離を地図上でコンパスを回して測って、「退避しろ」云々と日本政府が指示を出したことは、緊急措置としては、大きな意味があったでしょう。
実際の放射線量を測定する時間的余裕がない場合、距離に応じて一律の対応策をとったということは、極めて妥当な態度であったと言えると思います。
しかし「緊急性」の度合いが低くなるにつれて、このような機械的な方法の妥当性が低くなっていきます。
代わって導入すべきだったのは、実際に放射線量が高いのはどこであるのか、具体的な場所に応じてどれくらいの放射線量があるのか、という発想に基づいた考え方であったと思います。
国際原子力機関(IAEA)は、3月中旬に独自調査を行い、すでに3月末の段階で、原発から40キロ離れている飯館村の土壌からIAEAの避難基準を上回る放射線量が発見された、と警告しました。
日本政府は、その際には「30キロの同心円の仮設」を振りかざして、30キロ圏内は危険だが、30キロ圏外の飯館村は安全だ、と宣言するという間違いを犯しました。これは、極めて罪深い間違いであったと言わざるを得ません。

【つづく】

<文責:ピースビルダーズ理事・篠田英朗>



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